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"War of the World" 「宇宙戦争」

「宇宙戦争」というタイトルは、当時としてはセンセーショナルなイメージを歓喜するには最適な言葉だったのだろう。また、オリジナルの「War of the Worlds」を直訳した「諸世界の戦争」というのは確かにちょっとぴんと来ないものがある。地球と火星という二つの「世界」の戦争を意味する原題は、しかし、当時としてはドイツと西欧諸国、あるいはソ連とアメリカという地球上の二つの価値観の争いをも意味していたのかもしれない。今であればキリスト教徒イスラム教の争いが短絡的にはイメージされるかもしれない。が、しかし、世の中はそんな二つに分けることができるほど単純ではないということも今では分かっているはずだ。それを無理やり二つの価値観で、善か悪か、正義と非正義という分類に押し込んで、「われこそは正義なり」とこぶしを振りかざすアメリカ軍国主義にも嫌気が差すし、だから「アメリカこそ悪だ」と自らの正当性を主張するイスラム・テロリズム的な考え方にもうんざりさせられる。宗教は人を救うものであって、人を殺すものではないはずだ。宗教に限らず、右派だ左派だという考え方にもうんざりしてきた。資本主義だ共産主義だ…。なぜ、多様性を認め、他人を尊重し、自らの存在を確保しようとできないのか。比べるからか。自分が優遇されないと我慢がならないからか。不幸は幸せになりたいという気持ちが強ければ強いほど大きくなる。また、他人をも不幸にする。
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 話を映画に戻そう。原作(邦訳)を、映画を見る前に読んでおいた。話そのものはずいぶんと昔にラジオドラマか何かで知ってはいたが、本は読んでいなかったからだ。おかげで原作の持つ硬質な文体のかもし出すウェルズ独特の雰囲気も楽しめたし、映画の脚色もそれなりに楽しむことができた。主人公を労働者にして、アメリカに舞台を設定したところがこの映画の味噌だろう。だからこそダコタ・ファニングe0006365_15285320.jpgの娘との関係がより強調され、映画を親しみやすいものとしていたように思う。残念だったのは火星人が蛸でなかったことだ。原作に忠実にやってもらった方が良かったのではないだろうか。その代わりといっては何だが、攻撃機械が蛸型を意識したものとしてあったように感じられた。アメリカ的な英雄像も垣間見せながら、イギリス的なシリアスさをほのかに残しつつ、最後はアメリカ的なハッピーエンドを持ってくるところがスピルバーグだなぁ。
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by inVox | 2005-07-04 23:16 | ■Cinema/Movie