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「地球の静止する日 - SF映画原作傑作選」

「地球の静止する日~SF映画原作傑作選」創元SF文庫

1. 「趣味の問題」(レイ・ブラッドベリ)
  映画『イット・ケイム・フロム・アウタースペース』原作
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2. 「ロト」(ウォード・ムーア)
  映画『性本能と原爆戦』原作

3. 「殺人ブルドーザー」(シオドア・スタージョン)
  映画『殺人ブルドーザー』原作

4. 「擬態」(ドナルド・ウォルハイム)
  映画『ミミック』原作

5. 「主人への告別」(ハリイ・ベイツ)
  映画『地球の静止する日』原作

6. 「月世界征服」(ロバート・A・ハインライン)
  映画『月世界征服』原作

7. 「月世界征服、撮影始末記」(ロバート・A・ハインライン)

ということで、SF映画好きの私にしてみれば、著名なSF映画の原作というだけでも興味があったのだが、ハインラインの未訳作品がそこに含まれている!というので、これはぜひ買わずばなるまいと思っていたら、加えてスタージョンやブラッドベリまで。何と豪華な顔ぶれだろう、と購入。

ブラッドベリは、今となってはよくある設定となってしまったかもしれない落ちが逆に安心できるもので、むしろこの作家の表現力そのものを存分に楽しめる作品。ウォード・ムーアという作家は初めてだが、緊張感もあり、古い作品とは思えない近未来のリアリティが素晴らしい。スタージョンは古典的な設定かもしれないが、そういったSF的なことよりも登場人物のリアルさがたまらない。強烈な印象を残してくれた。ウォルハイムの作品は映画の方をTVでよくやっているのでそれとの違いを楽しめる作品。そしてベイツ。これもまた作品として素晴らしい。映画的な単純さを排して小説ならではの雰囲気がいい。

ハインラインの本邦初訳のこの作品は、解説によれば『宇宙船ガリレオ号』が下敷きになっているらしい。もちろんこちらは映画の原作であってもジュブナイル作品だし、主人公は少年たちだ。ただアイディアは同じだ。本書に収録されているのは映画のノベライゼーションだとなっている。したがって主人公は大人3人。いや、大人は大人でも壮年と言うべき年齢だろう。当時のハインラインらしい「古き良きアメリカの男性像」というものが描かれている。これまで邦訳がなかったことが不思議なほど完成度は高い。

一方、映画製作の現場の裏話的な「撮影始末記」は、これまたハインラインらしさ全開のレポートで、ハインラインの邦訳作品はほとんど全部読んでいるようなファンにはむしろこちらの方がおもしろいかもしれない。ハインラインにはこういった未訳作品がまだあるだろうからぜひとも訳出して欲しいものだ。
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by inVox | 2006-05-06 11:04 | ■Books