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「20世紀のオランダから」鈴木生子

「20世紀のオランダから ~クラリネット・バスクラリネットをめぐって~」
 カノン工房チャレンジシリーズ  vol. 15 鈴木生子 at Toppan Hall

e0006365_23151482.jpg1. "Zenith" (Jo van den Booren) 
  (bass clarinet, piano)
2. "Lament of a dying bird" (Rudi M. van Dijk)
  (clarinet, s-clarinet)
3. "Music" (Tristan Keuris)
  (violin, clarinet, piano)
4. "Duo" (Theo Loevendie)
  (bass clarinet)
5. "Canzone" (Tristan Keuris)
  (clarinet)
6. "Touch-and-go" (Roderik de Man)
  (violin, bass clarinet, piano)

鈴木生子:bass clarinet, clarinet, s-clarinet 
with
e0006365_2317397.jpge0006365_23163961.jpg相磯優子(violin)、浦壁信二(piano)

現代音楽のコンサート。しかもオランダで活動する作曲家たちの作品だけを集めたもの。ということで、さて堅苦しいものになるのかと少々緊張して行ってきた。とはいっても、すでに公開練習の形で半分の3曲は事前に耳にしていたので半ば安心しながらである。

3曲ずつの前半後半に分けられた公演は、そこそこの人の入り。聴衆の衣類による吸音と人の発するノイズのバランスはまぁまぁ。譜面台の高さと聴衆の耳の位置はなんとも言えない。エスクラでは譜面台の影となって少し音が通りにくかったかも。すべての楽器をオン・マイクで聴いてみたらどうなんだろうかとふと興味が湧く。

1曲目はリズムを感じさせる曲。ピアノとバスクラの絡みがもう少し欲しいところ。音量的に生音だけではちょっと迫力が足りない。演奏者自身の耳にはどのように聞こえているのだろうか。しかし、ノリのよいと言っていいくらいのデュオ曲。2曲目はソロ曲だがCl→S-CL→CLという3部構成。これもまた勢いがあり、気迫が音楽を素晴らしいものにしている。そして3人での曲。割と陽気で派手目な印象。こういうアンサンブルも上手い。

後半1曲目は一人二役の演奏を要求される曲だと解説にあるが、まさしくその通りの演奏。今日一番の演奏ではないだろうかと思った。個人的にもこういう曲が好きだということもあるが、とにかく素晴らしかった。続く2曲目は少し印象が薄い。1曲目を聴いた後だということもあってかすこしこちらの気持ちが緩んでしまった。…それに斜め後ろの方から眠ってしまった御仁のいびきが聞こえてきて…。おいおい。そして最後再び3人での演奏。今日の白眉となるはずの曲。作曲家本人が客席にいるし、公開リハで指導も受けていた。…公開リハではものすごく近い距離で聴くことができたからだろうか。その演奏よりも若干迫力に劣るように聞こえた。演奏そのものはよりダイナミックになっており、本来なら熱狂できるものだと思うのだが、ちょっとだけ音が遠く、その分せっかくのダイナミズムを殺いでいたように思う。やはりオン・マイクでPAを通した方がより目指す音が客席にも届くのではないだろうか。その点が少しだけもったいなかった。

面白かったのは、演奏者の動き。鈴木さんが割りと大きく体全体を使っての動きをしていたのに対してサポートのお二人はあまり動かない。コンサートは目でも楽しむものであることを考えるとちょっとさびしかった。まぁ主役はあくまでも鈴木さんなので遠慮されたのかもしれないが。

終演後のローデリック・ドゥ・マン氏のトークは面白かったが、通訳の作曲家がギリシア神話をまったく知らないようだった。ユリシーズの冒険といえばホメーロスの「オデュッセイア」のこと。クレタ島の名前も出して説明してくれたのだが、知らないがためにその曲の解説が結果としてほとんど省略されてしまったのは残念。また、主役である鈴木さんを無視して話を進められてしまって、本末転倒。本来なら作曲家と演奏者の曲を巡る面白い議論が聞けるのではないかと期待していただけに、あの「対談」にはがっかりさせられてしまった。あれは、別セッションまたは公演の前座として設定されているべきものだと思う。
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by inVox | 2006-05-14 23:17 | ■Music