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「夜のピクニック」

「夜のピクニック」 
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小説と映画は比べるものではないと思うが、この作品の場合は映画を先に見るべきだった。映画を先に見ていたなら、小説はさらに深みを増しただろう。小説はディテールを描くことが心の中のつぶやきとして、ある意味簡単に出来る。映画では、それをしゃべらせるわけには行かない。もちろん、特定の主人公がナレーションを勤めるという形で無理やりしゃべらせるという手法もあるが、この映画ではそれは行われなかった。主人公という考え方自体、今はもう複数が当たり前、あるいは不在であってもおかしくない。だから、ディテールを知らない状態でこの映画を見ていたなら、一人ひとりの表情に、仕草に、振る舞いに、いろいろなことを想像する余地が大きくあったはずなのだ。だけど、小説を先に読んでしまったがゆえに、逆に、あぁここはあれが省略されている、ここは変えられている、といった見方になってしまった。…もったいない。小説のディテールを忘れた頃、いや、大まかな筋さえ忘れた頃にもう一度見てみたい映画だ。

「誰でも映画を観ている間は18歳に戻れます」という恩田陸の言葉だけど、あれはちょっと違うと思う。映画に描かれている高校生と、恩田陸と同い年である自分の高校生時代の友人たちとでは大きく差があるように思えた。映画の中の高校生は、現代とはいえないまでも現代の高校生の文化の影響を受けたものだったように思えた。それは役者由来のものだと思う。演じていた若い役者が実際に高校生だった頃(それは今かもしれないが)の文化というか雰囲気が見え隠れする。ちょっとしたしゃべり方や口調に、笑い方に。だから私は18歳には戻れなかった。ちょっと残念。
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by inVox | 2006-10-08 09:42 | ■Cinema/Movie