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Phill Miller / In Cahoots Live in Japan 2006

e0006365_23134678.jpgPhill Miller / In Cahoots Live in Japan 2006

久々の来日公演。メンバー・チェンジをしてから初めての来日となるが、その脱退メンバーのうち二人が相次いで今年なくなった。エルトン・ディーンとピップ・パイルだ。それゆえ日本のファンにとってはこれが二人の(エルトンのはソフト・マシーン・レガシーで春に行われたため、特にピップの)追悼公演となった。しかし、あまりそういう雰囲気は強くなかった。フィルらしい徹底してプロ・ミュージシャンの公演であった。

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先行して行われたフレッド・ベイカーとのデュオ公演については、とみさんが既に感想を述べられているので私は省略させてもらうが、技術的にうまいフレッドの支える上でのフィルのある意味破滅的な演奏とが微妙にバランスを崩しているように見えながら保ちつつ進むという良い雰囲気の公演であった。

e0006365_23184362.jpg夜8時半という欧米での標準的なスタート時間からの公演は、前日も見た人によれば「百倍良い」出来。久しぶりの新作が出たばかりで(こちらもとみさんがレビューをされているのでご参照ください)、新曲中心かと思いきや、旧曲も多く、バランスの取れた選曲だったと思う。残念だったのは、終電車の時間の関係で、私はアンコールを聴くことが出来なかったことだ。あぁ悔しい! 素晴らしい公演だっただけに全部を見ることが出来なかったのは非常にもったいなかった。結局終電車に間に合うギリギリの時間まで粘ったのだが、本編終了までが限界だった。

新メンバーとなるドラムスのマーク・フレッチャーは、今年ゲイリー・ボイルの公演でも(ゲイリー・ハズバンドの緊急代役として)来日していたが、私は見るのは初めてだった。テクニカルだがどこか豪放でばたばたしたところも適度にあり、ジャズ、フュージョン系で高い評価を受けて活躍していながらもどこかロック的なノリを作り出しており好印象。フィルの楽曲はどちらかと言うと昔のハットフィールズやナショナル・ヘルスの頃よりもかなりジャズなので、マークのドラムスがロックへと接近させる役割を果たしているようで、結果として全体のバランスが素晴らしくなっていると感じた。思い切りの良さというべきところがピップとの大きな違いか。もう一人の新メンバー、サイモン・ピカードはそれなりにうまいし個性もあるが、どうしても、前任者のエルトンと比べてしまうのでちょっとかわいそうだ。

バンドは完全にフィルのもので、フィルの合図に従ってメンバーが演奏する場面もあった。そういう意味ではバンドのダイナミズムはフィルの作曲とアレンジによるところが大きいのかもしれない。だが、フレッドのベースはその中でもフィルのギターと双璧を為しているように感じられた。このベースに関してはフレッドに任せられているのではないだろうか。ピート・リマーのキーボードは渋い。涼しい顔してとんでもない音を出してみたり、フレッドとの超絶技巧ユニゾンを淡々とこなしたり、さすがだ。
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個人的にはロックよりの楽曲が好きなのだが、よりジャズよりな楽曲も素晴らしかった。カンタベリー系のバンドの中でもっとも直接的にジャズ・ロックの流れを受け継いでいるのがこのバンドだろう。考えてみれば、ワイルド・フラワーズからソフト・マシーン、マッチング・モール、ハットフィールズ、ナショナル・ヘルスと続いた流れは、このイン・カフーツがなければ途絶えていたかもしれない。ふと、そんなことを考えた。
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by inVox | 2006-12-18 23:15 | ■Music