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「once ダブリンの街角で」

「once ダブリンの街角で」(2006年/アイルランド)

e0006365_1503618.jpg監督・脚本:ジョン・カーニー
グレン・ハンサード/マルケタ・イルグロヴァ/
ヒュー・ウォルシュ/ゲリー・ヘンドリック/アラスター・フォーリー


アイルランドの音楽映画。ミュージシャンになれなかった男と結婚生活に失敗し母親と娘と一緒にチェコからきた移民の女。まだ40前の男はストリートで歌い小銭を稼ぎ、そうでないときは父親の電気掃除機集利点を手伝っている。まだ若い女は豪邸の掃除をしたり通りで花を売ったりしている。ときおり街の楽器屋さんで展示してあるピアノを弾かせてもらうのが唯一の楽しみ。この二人の出会いと別れの物語。そして音楽が二人を「再生」へと導く。

「再生」と書いた。Re-Vitalizeとでも言うべきかも。音楽の持つ力、アンサンブルの持つ力、バンドの持つ力、歌の持つ力、歌詞の持つ力。楽器を演奏し、バンドやアンサンブルをやったことのある人なら分かってもらえるだろう。オリジナルの歌を書き、楽器を弾きながら歌う。ほかの人と音を合わせる。そこには魔法が生まれる。いや、正確には生まれることもある。音楽の力。

音楽映画として、これまで見たどんなものとも違った。もちろん、「スティル・クレイジー」のようなものとも違うし、「スクール・オブ・ロック」ともまったく異なっている。「ドリーム・ガールズ」のようなミュージカルでもない。「コーラス」でもない。始めてみるタイプの音楽映画だ。ある意味ドキュメンタリーのようでもあるし、ドラマのようでもある。...映画だ。

使用される楽曲のほとんどは、主役二人の作詞作曲だ。監督は、その昔、主役の男と一緒にバンドをやっていた仲間だったという。主役には名前がない。男は「guy」、女は「girl」とだけエンド・ロールにクレジットされている。無名性を持たせることでリアリティと感情移入は増すのか、減るのか、この映画の場合前者だった。だけども、もし、私がこの二人のミュージシャンのことを知っていてアルバムも聴いていたならば、この映画の印象はかなり違ったものになったのではないだろうか。瑞々しい演技は馴れ合いに見えたかもしれないし、歌も最初から受け入れる気で積極的に好意的に聴いたかもしれない。ふと、そんなことを考えた。
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by inVox | 2007-11-09 15:00 | ■Cinema/Movie