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"MALANJA" Pauliina Lerche

続いて、2枚目のソロ・アルバムについての解説を訳してみました。先と同様、誤訳、発音の間違い等あると思いますので、気が付かれた方はご指摘ください。また、日本盤の曲順も載せていますが、本国盤とは、ボーナストラックを除いてみても曲順が少し違っています。対訳とライナーノーツも付いており、オリジナルとはまた違った楽しみ方が出来るものと思います。但し日本盤はSACDではありません。

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"MALANJA" Finland Orginal Release(ROUTE RUOCD106)

e0006365_22423861.jpg  1. Jo mie viikon/A Long Time....
  2. Touko/Spring
  3. Etelamyrsky/Southern storm
  4. Malanja
  5. Kaisan katrilli/Kaisa`s Quadrille
  6. Tanssi poika/Dance, oh Boy
  7. Kirkonkellot II/Church-bells II
  8. Amerikan katrilli/American Quadrille
  9. Yon tytto/Maiden of the Night
 10. Tulikatrilli/Fire Quadrille
 11. Aallot/Waves


パウリーナ・レルヒェが自身2枚目のCD『マランヤ』(ROUCD106)と共に登場だ。『マランヤ』(カレリア風の女の子の名前)では、まず『カトリリ』(2002)で聞くことが出来た生き生きとした、女性的なカレリア風のムードを引き続き聞くことが出来る。このアルバムに参加しているミュージシャンたちはフィンランドにおけるそれぞれのジャンル(エスニック、フォーク・ミュージック、それとジャズ)におけるトップを代表する人たちである。『マランヤ』はスーパーオーディオCDであり、一枚のディスクの中に普通の16bitのCDステレオ音声と、24bitのSACDで、ステレオと5.0chのサラウンド・ミックスが収録されている。

マルチ・インストルメント奏者であるパウリーナはアコーディオン、カンテレ、ヴァイオリン、それにデルターをプレイしている。彼女はまた、『マランヤ』でのメイン・ボーカリストでもある。音楽は伝統音楽に強く影響されているけれども、作曲はパウリーナ自身である。彼女は一見、楽々と彼女の強いルーツであるところのものとよりモダンな、"グローバル"なアプローチとをひとつにしてしまっている。アコーディオンやアコースティック・ギターに加えてさらに、アルバムを特徴付けるものとしてヴィブラフォンや、カヴァル(バルカン地方の笛、羊飼いなどが使用したもので、ブルガリア、マケドニア、トルコなどが本場の斜めに構えて演奏する)、ロー・ホイッスル、エストニアン・バグパイプ、ドブロ・ギター、カルナティック・ヴァイオリン(インドのヴァイオリンの一種)などが使用されている。特筆しべきは、デルターというハープのような楽器で、イラク生まれの音響学教授であるアリ(現在は英国に拠点を置いている)によって設計された楽器が、レコーディングされたものとしては初めて登場していることであろう(「トゥリカトリリ」で使
用)。

パウリーナは、北カレリアの村、ラーキラの音楽的な温室で育ったと言える。ラーキラは数多くのエスニック/フォーク音楽のグループを輩出しているところで、もっとも有名なのはヴァルティナだろう。彼女はオリジナル・ラインアップでプレイしている。彼女のソロ・キャリアに加えて、彼女はブーラカットでも歌い、ヴァイオリンを演奏している。ブーラカットはカレリアの言葉で歌う唯一のグループだ。2002年からは、インド(ヒンドゥスタン)のミュージシャンと一緒にレコーディングや演奏を行っている。特にエキサイティングで注目すべきは新しいグループであるクリヤだろう。このグループにはフィンランドとインドの音楽的な遺産が含まれている。クリヤの最初のアルバム『クリヤ』(ABCD 210)は2006年1月にリリースされた。

ロシア国境に近い湖沼地域の小さなコミュニティで育ったことで、自然がパウリーナの音楽のインスピレーションとして、特別な役割を果たしている。古代の神話的な要素としての大地、風、火、そして水は、音楽のテクスチャの中で強い存在感を持っている。『トゥコ(春)』の中で、聴き手は雪が融けて水になるときの滴りの感覚を感じることが出来るだろう。『エテラミルスキ(南の嵐)』では、秋の最後の暖かな息吹を、『アアロット(波)』では、夏の湖の穏やかな漣を感じられるだろう。『マランヤ』における自然の音は、彼女の家族が所有する小さな島で録音された。彼女はそこですべての夏を過ごしてきたのだ。

『カトリリ』からのエクストラ・トラック付きの『マランヤ』が2006年秋に、日本でビーセクションからリリースされた。


●日本盤『マランヤ』(全15曲) 63'20" ボーナス・トラック4曲入り
(Tobasis Records WSCT-11005 税込定価\2,500 対訳、ライナーノーツ付)

  1. Kaalina Timojaa 3'38" ※
  2. Jo mie viilon 3'49"
  3. Touko 4'35"
  4. Tuuli Taivutti ~Lanssi 2'58"  ※
  5. Kaisan katrilli 4'28"
  6. Tanssi poika 4'00"
  7. Etelamyrsky 4'07"
  8. Vot I kaalina 3'25"  ※
  9. Rapakatrilli 4'10"  ※
 10. Malanja 3'49"
 11. Kirkonkellot Ⅱ 3'52"
 12. Yon tytto 3'51"
 13. Amerikan katrilli 4'09"
 14. Tulikatrilli 6'03"
 15. Aallot 5'51"

※日本盤のみボーナストラック

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『MALANJA(マランヤ)』(カレリア地方での少女の名前)

1. Jo mie viikon(ヨー・ミエ・ヴィーコン)(長い時....)

この曲は、東カレリア地方の伝統音楽からなる部分と私自身の作曲からなる部分から出来ている。私は伝統音楽のメロディが大好きだが、それは大概、きわめて短いのです。私はそれに長さを加えたかったのです。この曲のストーリーは、花婿の到着を待つ少女についてです。彼女は時間が早く過ぎていくように、と歌を歌い続けているのです。

この曲では、私はブルガリアのカヴァル(バルカン地方の民族楽器である縦笛、斜めに構えて吹く)とインドのカルナティック・ヴァイオリンの伝統を、伝統的なカレリア地方の雰囲気でひとつにしたかったのです。私は、世界の異なる地域のエスニック/伝統音楽には共通の何かがあると本当に感じているので、異なる音楽的文化の異なる要素をひとつにすることは、私にとっては自然なことです。わたしは、伝統音楽には、人々に深く触れるような、普遍的でとても人間的な何かがあると信じています。

2. Touko(トウコ)(春)

フィンランドでは、一年の中に4つのとても異なる季節があります。春は、長く、暗い冬の後に来る、喜びにあふれた季節です。私は、雪が融けてできる小川の中で遊ぶことが大好きな子供でした。たとえ太陽が輝いていても、夕方が明るくても、まだ、とても寒くて、風景は湿っており、色彩に欠けています。しかしながら、人はすでに、『猫柳』(の蕾)が芽吹くのを見ることが出来るようになり、そして、夏がようやく訪れて来るだろうということが、私をとても幸せにしてくれます。この曲ではこの感覚を描こうとしています。

3. Etelamyrsky(エテラミルスキ)(南の嵐)

この曲では、秋の最後の暖かな息吹を感じられます。これは、穏やかな嵐が南から来るためです。木々の葉はすでに落ちてはいますが、雪はまだやってきていません。私は自然の音を私の家族が所有している小さな島、リーアンミエスで録音しました。その島は私が子供時代のすべての夏を過ごした場所でもあるのです。リーアンミエスは、私がそこから強さをもらったところなのです。

4. Malanja(マランヤ)

これは、迷子になった少女の悲しいお話です。幸運なことに、ハッピーエンドが待っており、彼女は最後には家族と花婿とを見つけることになります。これは私自身の作曲ですが、とても強い伝統的なカレリア風の基調を持っています。この曲は私の書いてきたボーカル曲の中でもお気に入りのひとつです。

5. Kaisan katrilli(カイサン・カトリリ)(カイサのカドリル)

この曲は、ダンスの振り付けのために書かれました。ダンスはお互いにふざけあう恋愛中の少女たちと少年たちについてのものです。この曲においては、アイルランドのロー・ホイッスルがアコーディオンと共に楽しげなコンビネーションを作り出しています。

6. Tanssi poika(タンシ・ポイカ)(ダンス、オー・ボーイ)

これもまた、伝統音楽と私自身の曲とのコンビネーションです。伝統音楽の部分は東カレリアからのものです。これは、ドイツでのフェスティヴァルですごくヒットしました。ヴィブラフォン、パーカッション、それにペーターの素晴らしいドローン・ギターがこの曲でのエキサイティングなミックスを創り出しています。アレンジはギタリストのトゥオマス・ログレン(ラーキラでの子供時代からの友人で、オリジナル・ラインアップのヴァルティナのメンバー)によるものです。この曲では、私は、小さな妹のハンナマリと一緒に歌っています。ハンナマリはこの曲のメイン・ボーカリストです。

7. Kirkonkellot II(キルコンケロット2)(教会の鐘2)

この曲は、私がうちの台所で録音しました!私は古いカレリアの教会の鐘を使った伝統音楽に魅了されています。このテーマは、人生を通じて私が追いかけ続けるテーマとなるでしょう。

8. Amerikan katrilli(アメリカン・カトリリ)(アメリカン・カドリル)

この曲ではドブロとアコーディオンによる網の目がとてもうまくかみ合っています。その結果はうまく「アメリカン・カドリル」と名づけられました。これは単純で、リラックスした、美しい曲です。

9. Yontytto(ヨンティット)(夜の乙女)

このアルバム2番目の悲しいお話は、婚約者が去ってしまった少女についてのものです。お話の中で、少女は最後にはひとつの期間の終わりは同時に次の期間の始まりであるということを理解します。そして、彼女が一時的にはとても悲しかったとしても、そこには、何かしら新しく、おそらくは何かしらより良いものが彼女を待っているのです。この曲は、私の妹のハンナマリと一緒に作曲しました。彼女はとても小さな子供だったころから私と一緒に演奏し、歌ってきたのです。

10. Tulikatrilli(トゥリカトリリ)(火のカドリル)

火はパワフルで、原始的で、破壊的な力です。同時にやさしく、お茶目ですらあります。この曲で、私はこれを描こうとしました。昨年の夏、私は機会があり、まったく新しい楽器であるデルターを試すことが出来ました。それはハープにも似た楽器で、イラク生まれで今はロンドンを拠点としている音響学教授アリによって発明されたものです。私はこの楽器にとても興奮してしまい、この曲にぴったり合うに違いないと思いました。「火のカドリル」はこの楽器の初めてのレコーディングなのです。

デルターがこの曲を締めくくるとき、私はそこに、私が東京の芸大で学んだ、琴の演奏の影響を聞き取ることが出来ます。

11. Aallot(アアロット)(波)

火の後は水が来ます。私の考えでは、水はリーアンミエスの島の周りにあるものなのです。夏、湖の波はやさしく、水は穏やかで暖かです(『鳥のミルク』)。聞こえてくる唯一の音は、鳥たちが歌い、木々の葉が優しい風にそよぐサラサラという音だけ:もっとも完璧な日々です。自然の音は、私が表現したのと同じような夏の日に、リーアンミエスの島で録音されました。

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by inVox | 2007-11-26 22:42 | ■Music