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「新たな響きvol.2 」アンサンブル・コンテンポラリー・アルファ

「新たな響きvol.2 + フェルドマン没後20年」アンサンブル・コンテンポラリー・アルファ公演

・12月14日(金)19:00~
・すみだトリフォニー 小ホール

曲目
1.「デンマークの王(The King of Denmark)」(1964)
   モートン・フェルドマン [perc.]
2.「新作」 (2007 世界初演) 星谷 丈生 [fl. ob, vn solo, vn, pf]
3.「アントモフォニー II」(2003) 斉木 由美 [fl. Bcl ,vn ,vc ,pf]
4.「クラリネットと弦楽四重奏(Clarinet and String Quartet)」 (1983)
   モートン・フェルドマン [cl, 2vn, vla, vc]
演奏:
 夏田 昌和(指揮)
 木ノ脇道元(フルート)
 宮村和宏(オーボエ)
 鈴木生子(クラリネット、バス・クラリネット)
 花田和加子(ヴァイオリン)
 佐藤まどか(ヴァイオリン)
 辺見康孝(ヴァイオリン、ヴィオラ)*客演
 松本卓以(チェロ)
 及川夕美(ピアノ)

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「新たなる響き」の第2回目。モートン・フェルドマン(Morton Feldman)の作品二つを軸として二人の日本人作曲家の作品を間に挟んだ4曲、2部構成。といっても、前半3曲、後半1曲。最後の曲は約45分。

1曲目、ステージに山と積まれた打楽器の数々。金物が多い。演奏は素手によるもの。楽譜がどのようなものなのかが気になった。というのは、かなりの場面で楽譜に見入る演奏者の動きが気になったからだ。配布されたパンフの文章の中には、フェルドマンの初期の楽譜はいわゆる五線譜ではなく、図形・図象譜面だとあったので、なおさら。もし、この曲の楽譜も図象だとしたら、演奏者はすなわちアレンジャーであり、即興的な要素を強く求められていることになる。だとすると素晴らしい演奏者だ。だが、もし、細かく音符としてどの楽器をどの順番で、どのように演奏するのかが譜面上に指定されていたとしたら、演奏者は素晴らしい職人だとなる。ライブ演奏の醍醐味は、目で見ることにも多くを依っているので、この演奏は大変楽しめたのだが、これがレコーディングされたもので、音だけを聞かされたとしたら、まったく違う理由で感動していただろうと思う。音楽とは不思議なものだ。

変わって2曲目。ダイナミックな動きを見せるソロ・ヴァイオリン奏者の動きは、音楽とはあんまり関係ないように見えた。と言うよりもむしろ、動きの少ないほうが出てくる音の良さが強調されただろうなぁと思ったのだ。動きの激しい分。逆に、音はたいしたことないじゃん、と思ってしまった。これもまた生演奏ならでは。それにしても、この曲。こうやって思い出しながら書いてみても、印象に残っているのがソリストの動きだけ、という希薄な印象しかない。このコンサートの中で最もつまらなかった曲だ。

「虫」がテーマという3曲目は、音と音楽の関係を真摯に追及した良い曲だった。一つ一つの音に必然性が感じられ、それが自然なものであり、かつ、また、作曲されたものとしても恣意性をきちんと感じることが出来たのだ。これって、ちょっと面白いかも。現代音楽という枠を取っ払ってしまえば、たとえばこの曲などは録音物としてCDショップでは「ポピュラー音楽」の棚に分類されていくだろう。そういう普遍性を感じられる曲だった。

そして、休憩を挟んで後半。

フェルドマンにしては、決して長い部類の曲ではないそうだ。事前に脅かされていたような「す~」とか「ふ~」というのでもなかった。むしろ、きちんとしたテンションが最初から最後まで高いレベルで持続し、メリハリのある展開も明快であった。あっという間に終わってしまったという印象だ。間違いなくこのコンサートの目玉だった。途中でバイオリンの方のうちお一人の緊張感が途切れた瞬間が3,4箇所あったのはご愛嬌というところだろう。こういう曲でこそ、演奏者は自身の力量が試されると言えるのではないだろうか。指揮者がいたが、できれば、これを指揮者なしで、アイ・コンタクトだけで演奏してみて欲しい。そこで生まれてくるのは、まったく違う力を持ったアンサンブルになるはずだから。
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by inVox | 2007-12-24 00:12 | ■Music