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"The Courting Ground" Dorie Jackson

"The Courting Ground" Dorie Jackson (DJCD001 2007)

e0006365_1522011.jpg01. Songbird
02. Railway Station Boy
03. Back Again Starry Eyed
04. The Deep Sea Life
05. Too Scared To Say I Love You
06. Looking For James
07. Going Away
08. Your Love Will Make It Alright
09. Never Gonna Break Me
10. Rocketship To Mars
11. Behind My Back
12. The Courting Ground


Dorie Jackson - Vocals
Francis Dunnery - Guitars, Piano, Synthesizers
Melvin Duffy - Pedal Steel, Dobro
Nathan King - Bass
Trevor Smith - Drums
David Jackson -Saxophone, Flute
Stephen Harris -Harmonica, Guitar
Flamman - Guitar
Terry Smith - Mandolin

Produced by Francis Dunnery


David Jacksonの娘、Francis Dunneryの秘蔵っ子、そういった形容詞で語られることも多いドリー・ジャクソンの待望のデビュー・アルバムが昨年ようやく発表された。2004年のデヴィッド来日の時にはかなりレコーディングも進んでいるようなことも聞いていたし、デヴィッドがフランシス・ダナリーのことをアルバムの仕上げをなかなかやってくれないと愚痴っていたのも印象的だったので、実にアルバム製作には4,5年かかっていると見ていいのではないだろうか。もちろん、プロデュースはフランシス・ダナリーだ。楽曲はすべて共作となっている(フランシス以外のメンバーとのも含む)。歌詞はドリーが書いているようだが、単純にメロディやバッキングの雰囲気を追えば、フランシスの色が強いことは否めないだろう。しかし、それでもこのアルバムをドリーの作品足らしめているのはドリーの歌声であり、彼女の書く歌詞である。

アクエリアン・ネイションのプロフィール紹介に依れば、ドリーは最初女優を目指していたようだが、それが自分には向いていないということが分かると父親と同じ音楽の道へと進むことを決意したようだ(兄のジェイクは、同じ音楽でもレコーディング・エンジニアの道を選び、現在はエア・スタジオのエンジニアとして様々なアーティストのアルバムや映画音楽のレコーディングに関わっている。デヴィッドの子供たちはいずれにせよ音楽の道を選んだということになる)。

ドリーの音楽における最初のプロとしてのキャリアは、フランシス・ダナリーのステージでのバッキング・ボーカルとして始まっている。このときのドリーの仕事がフランシスの気に入り、フランシスのレーベル「アクエリアン・ネイション」に所属している元スクイーズのクリス・ディフォードのソロ・デビュー・アルバムにも参加することとなった。その後のクリスのツアー(エルビス・コステロやジュールズ・ホーランド、クリス・レアなどのサポート)にも同行し、また、クリス以外のアクエリアン・ネイションのアーティストのアルバムやツアー(ポール・ヤング、ベリンダ・カーライル、ホームスパン、マルティ・ピロウなどのサポート)によって、徐々にその名がファンの間に知られるようになっていった。また、それ以外でもウイリアム・トプリーの最近2作でも歌っている。ごく近々ではエイミー・ウェッジのアルバムにも参加している。このようにしてドリーは活動の場を少しずつ広げてきているのだが、拠点となっているのはあくまでもアクエリアン・ネイションであり、フランシス・ダナリーとの活動のようだ。

これまでフランシス・ダナリー一派のミュージシャンのツアーやアルバムでのバッキング・ボーカルでしか聞けなかった彼女の歌が、たっぷりと聴けるということがこれほど心地よい音楽で実現したというのも嬉しい限りだ。もちろん、ここで聴ける音楽にはVdGGでもIt Bitesでもないが、フランシス・ダナリー色が色濃く出ているのは、プロデュースのみならず、作曲面でもドリーとフランシスが共作というスタイルをとっている以上は、仕方のないことだろう。しかしながら、ゲスト参加している父親デヴィッド・ジャクソンの音(主にフルート、2曲でソプラノ・サックス)が聞える曲では、たとえフランシスの作曲であっても、デヴィッド不参加の曲とは雰囲気が多少異なっていて、デヴィッドのファンとしても(全曲参加ではないとは言え)満足できるものである。言い方を変えれば、フルートの貢献度は大きく、それを含めた楽曲の雰囲気がアルバムの雰囲気を代表していると言えるだろう。

ドリーの声は、どちらかというと低めで、深みのあるものだ。1曲目のインパクトはなんといってもこの声に依るところが大きい。力強さと繊細さが同時に感じられる声なのだ。正直ずば抜けて上手いという訳ではないが、味がある。今後どのように成長していくのか楽しみだ。このアルバムではフランシスとの共同作業が非常に大きな比重を占めているのは間違いないが、この経験が次にはドリー単独での作詞作曲アレンジを実現してくれることを期待している。音楽として「どう表現していいのか分からない」ということからフランシスが時間をかけて引き出していったドリーの才能は、まだ開花し始めたばかりなのだから。
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by inVox | 2008-01-13 15:32 | ■Music