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「ヘリオガバルス」アルトー

「ヘリオガバルス または戴冠せるアナーキスト」 アントナン・アルトー 
 多田智満子 訳、白水社

e0006365_15503121.gifずいぶんと昔に買っていて、ずっと本棚の奥でお休みになっていた本だ。白水Uブックス。「小説のシュルレアリズム」。今は、アントナン・アルトー著作集(全5巻)中の第2巻目としてちょっと大きい版型で出ているようだ。難解だ、といわれている本なのだが、その「難解さ」の一端は、文章そのものだろう。最初、これは序盤だけの導入部に違いない、そのうち普通の小説的な語り口になるに違いない、と思って読んでいたが、結局最後まで同じ語り口だった。散文詩のような、劇的な美文のような、いや、美文麗文とはちょっと違う。賛美する者の歴史を語る口調だ。憧れと賞賛を以って過去を美化し、神格化するときのような語り口と似ているかもしれない。伝記ではない。ドキュメンタリーでもない。ましてや歴史小説ではありえない。

ただ、作品そのものにもまして「難解さ」を演出しているのが解説だ。学術的な背景やら解釈やらがこれでもかとばかりにページを喰っている。作品を作品としてのみ楽しみたいのであれば、訳者付記まででやめておくのがいいだろう。学問としてアルトーを読みたい人はまず解説を読み解くことから始めたほうがいいかもしれない。20ページ近くあるので、これだけでもちょっとした小論文になっているからだ。得られるものも多いだろう。私は、解説は前半で放り投げた。
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by invox | 2008-03-16 15:50 | ■Books