ブログトップ

Out of My Book

invox.exblog.jp

Official inVox Blog; Watched, Read and Listened in my real life.

「コントロール」 (2007)

コントロール」 (2007年 英/米/濠/日)
e0006365_2256316.gif

監督:アントン・コービン
出演:サム・ライリー、サマンサ・モートン、アレクサンドラ・マリア・ララ、ジョー・アンダーソン、トビー・ケベル

e0006365_22561821.jpgうたい文句は「伝説のミュージシャン、イアン・カーティスの光と影を描く感動ドラマ」。ジョイ・ディヴィジョンの名前は知っていても、リアル・タイムではアルバムを入手できなかったし、初めてその楽曲を聞いたのはポール・ヤングがカバーした「love will Tear Us Apart again」だった。ニュー・オーダーとなってからの音は、それでもFMラジオでヒット曲がかかっていたが...。

それはさておき、ジョイ・ディヴィジョンは若かったんだ、ということをあらためて感じた。後追いで聴くことの不利な点の一つに、バンドを「過去」として捉えてしまうことがあると思う。「過去」として捉えてしまうと、どうしても、年齢的なところで自分よりもかなり年上のメンバーたちという先入観ができてしまう傾向が私にはある。たとえ今でも、ね。映画の中でバンドは十代後半で登場し、20代頭で終わってしまう。そこにリアルな人間を感じたのは事実だ。

e0006365_22572217.jpgイアン・カーティスという人物が職業紹介所に勤務していた、というのも初めて知った。バンドの他のメンバーも含めて、根が真面目な人物であったのだということも。もちろん、高校時代のエピソードなどもあるが、あの時代だからそれは珍しいことではなかったのだろう。この職業紹介所での訪れる人々との対話の場面も少なからず描かなければならないものであったのは間違いない。それが彼にとっての一つの現実の生活だったのだから。

驚いたのは、イアン・カーティスが癲癇を患っていたということだ。薬の副作用が述べられる場面を見ていると、もし彼が癲癇でなかったら、薬の副作用がなかったら、自殺はなかったのか? という疑問もわいてくる。早すぎた結婚と、癲癇の発作への恐怖と、ツアーの重圧。薬の副作用。妻との感覚がずれていくという実感。愛人への逃避。「もうコントロールできない」と呟く。さまざまな葛藤が描かれていく。原作は、イアンの妻デボラ・カーティス。もし、イアンが生きていたら51歳か。生きていたらどんな音楽を作っていただろうか。それとももはや音楽活動をやめていたのだろうか。

「伝説のフォトグラファーで、PV監督」のアントン・コービン初監督作品だということだが、たしかに、実際にリアルタイムでバンドを写したのと同じモノクロで最後まで通した映像は、とても印象的だった。バンドのライブシーンも多用されるが、音楽そのものに焦点が当てられているわけではない。歌詞にはかなり重きが置かれていたが。やはり「歌」では歌詞の「意味」に注目が集まるのは仕方のないことなのだろうか。多くのバンドの楽曲が使用されていたがどれも全曲を完全に流されることはなかった。ライブ・シーンの描かれ方と相俟って、これはフラストレーションがたまる。もっと音楽そのものにに語らせろ。

バンド結成以前のイアンの部屋のシーンで机の上に「Novels」「Poems」「Lyrics」という三冊のファイルが並んでいるのが映し出された。ワーズワースの詩を暗誦する場面も。部屋にはデヴィッド・ボウイー、ルー・リードのポスターが貼ってあったし、セックス・ピストルズのライブを見に行くシーンや、バズコックスをこき下ろすせりふなど、にやりとする場面もある。「バンドのメンバー、ピーター・フックやバーナード・サムナーを演じた俳優の“そっくり”ぶりにも要注目」だと宣伝文句にはあるが、残念ながら私はオリジナルを知らない。

ジョイ・ディヴィジョン、やはり一度きちんと聴いておかなければならないか。
[PR]
by invox | 2008-03-31 22:57 | ■Cinema/Movie