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「マンデラの名もなき看守」(2007年)

「マンデラの名もなき看守」(2007年 独・仏・南ア・ベルギー・伊)

監督:ビレ・アウグスト
出演:ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイスバート、ダイアン・クルーガー


e0006365_2359480.jpgネルソン・マンデラが唯一製作を認めた自身の過去に関わる映画。ネルソン・マンデラ生誕90執念記念作品だそうだ。主人公は、しかし、マンデラではなく、マンデラの看守を勤めたある男、ジェームズ・グレゴリー。彼がマンデラの看守として任に着いてから、マンデラが解放されるまでの物語。どこまでが事実でどこからが脚色されているのかは分からないが、見た印象では、基本的に事実ベースで構築されたもののようだ。

南アフリカのアパルトヘイト政策は私にとってもまだ記憶に生々しい歴史だ。ネルソン・マンデラを励ます、あるいは救うためのチャリティ・コンサートなどが何度も開かれていたのを知っているからだ。ピーター・ガブリエルやユッス・ンドゥールなどの音楽や活動が私にこれを強く意識させた。一方で、スティーヴン・ビコを扱った「遠い夜明け」が、ガブリエルの「ビコ」と併せて強烈なインパクトを私に与えたのも事実だ。故に、長いことマンデラは名前のみ知っている存在であり、ビコの影に隠れて見えていた。一つには情報が少なかったこと。もう一つには、ビコと違い、暴力には暴力で対抗することもやむなし、としていた点が私には嫌だったのだ。そして、最終的にマンデラを解放するのは、国際社会からの、経済制裁を含む圧力であり、けっしてANCの行った、政府の暴力に対する暴力での対抗ではなかったと信じている。

だが、「理解することは許すこと」という言葉があるが、マンデラの人となりを知ることがジェームズの「知りたい」という欲求に訴えかけ、理解を促した。マンデラ自身は、決して暴力を肯定したわけではなく、それがなくなることを願っていたのは事実だ。それを理解した時点でマンデラの人間像はよりクリアになっていく。それは、映画を見た私にとっても同様のプロセスを(かなりの駆け足ではあるが)疑似体験させてくれた。幸運だったのは、この二人を演じる俳優のことを私はほとんど何も知らなかったことだ。特にマンデラ役のデニス・ヘイスバートについては「24」での米国大統領を演じた人という程度は知っていたが、「24」自体を見ていないので、先入観なく見ることが出来たのだろう。唯一ジェームズの妻役であるダイアン・クルーガーは「ナショナル・トレジャー」シリーズを2作とも見ていたので最初の内は、「役者」が見えてしまったのが少し残念だ。後半はとても素晴らしく、役者を忘れ、役に引き込まれてしまったのだが。好きな女優さんの一人になるかも。

それにしても、もう一度見たくなってしまった。いい映画だ。この映画にはイギリス人は出演しているが、制作にはイギリスもアメリカも名前が出てこない。政治を政治家のおもちゃにしないマンデラへの敬意が感じられる。
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by invox | 2008-05-21 23:59 | ■Cinema/Movie