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"Broken Records - The Singles" Dave Stewart and Barbara Gaskin

"Broken Records - The Singles" (CD/LP, 1987)
- Japanese compilation of 6 singles, with their 'B' sides)

e0006365_18573769.jpg  1. I'm In a Different World
  2. Leipzig
  3. It's My Party
  4. Johnny Rocco
  5. Siamese Cat Song
  6. Busy Doing Nothing
  7. Rich For A Day
  8. Waiting in the Wings
  9. The Emperor's New Guitar
 10. The Hamburger Song
 11. Henry And James
 12. The World Spins So Slow

このデュオの初期作品群はすべて7インチEP盤、つまりシングル・レコードとしてリリースされている。1981年、このデュオの活動が始まる直前の、デイヴ・スチュワートのソロ名義での(メイン・ボーカルにゾンビーズのコリン・ブランストーンを迎えた)シングル『What Becomes of the Broken Hearted』が英国チャートでなかなかのヒットとなったが、そのシングルはこのデュオの作品ではないため彼らのアルバムには一切含まれていない。わずかにスティッフ・レコーズのレーベル・コンピレーション・ボックスセットにB面の『There's No Reward』と共に収録されているのみである。(その後企画もののCDシングルにA面曲のみ収録され再発されている)

さて、このアルバムは、日本のMIDIレコードが大胆にも直接企画して発売が実現したコンピレーション・アルバムだ。このデュオの初期作品、6枚のシングル盤を、A面曲をA面に、B面曲はB面に、というように忠実に割り振ってあるのだが、曲順に関しては必ずしも発表順ではない。また、A面とB面とで同じ順番でもない。これはアルバムという性格上やむをえないことだが、時間軸よりも音楽としての流れを重視した結果だろう。実際の発表順に並べてみると以下のようになる。

1981 It's My Party/Waiting in the Wings
1982 Johnny Rocco/The Hamburger Song
1983 Siamese Cat Song/The Emperor's New Guitar
1983 Busy Doing Nothing/The World Spins So Slow
1983 Leipzig/Henry And James
1984 I'm In a Different World/Rich For A Day

また、A面曲は全て別アーティストのカバー曲であり、B面は全て彼らのオリジナル楽曲であるという点もシングルと共通になっていて、その辺にシングル盤の製作意図に忠実に作ろうとしたこだわりが感じられる。カバー曲のオリジナル・アーティストは、それぞれ以下のようになっている。

・It's My Party (Lesley Gore)
・Johnny Rocco (Marty Wilde)
・Siamese Cat Song (Peggy Lee)
・Busy Doing Nothing (Bing Crosby Movie)
・Leipzig (Thomas Dolby)
・I'm In A Different World (The Four Tops)


日本でもよくオンエアされた「アイム・イン・ア・ディファレント・ワールド」が1曲目に来ている。この曲に関しては、イギリスよりも日本での方が人気が高かったようだ。また、2曲目のトーマス・ドルビーの曲も面白い。トーマス・ドルビー自体がかなりユニークな音楽である上に、それをデイヴ・スチュワートの感性でアレンジしてあるのがたまらない。3曲には、ファンなら誰もが知っているように、このデュオの最初のシングルである『イッツ・マイ・パーティー』を持ってきている。シングル盤では「デイヴ・スチュワート・ウィズ・バーバラ・ガスキン」とクレジットされていたが、実質このシングルがデビュー曲だ。このシングルが4週間にわたって英国チャートの1位を独走し、その年の年間1位も獲得したのだ。そのためこの曲にはプロモーション・デオも存在しているし、テレビ出演したときの映像もあるようだ。日本のバブル期にも通じるような1982年当時のファッションがたっぷりと楽しめるのだが、このプロモーションビデオの中には当時のテレビ出演でもサポートしていたピップ・パイルとジャッコ、それとアマンダ・パーソンズが登場している。それに遊び仲間でもあったというトーマス・ドルビーの姿も確認できる。4曲目はロックン・ロール。曲中に聞えるギャングのボスの台詞'Johnny - stand up and fight, boy!'は偶然スタジオに居合わせたロバート・プラントだとの事。すごい組合せが隠れていたものだ。5曲目はディズニー映画の挿入曲。オリエンタルなメロディだがアレンジはさすがにデイヴならではだ。6曲目にも映画音楽から。ビング・クロスビー出演の『アーサー王宮廷のヤンキー』の挿入歌。これもまたユーモラスな曲だ。

B面パートに移るとデイヴ&バーバラのオリジナルが並んでいる。まずは軽快な「リッチ・フォー・ア・デイ」。踊りだしたくなるような展開で1984年の6枚目のシングルのB面ということもあり、かなり洗練されたアレンジが楽しめる。続いて「ウェイティング・イン・ザ・ウイングス」は雰囲気のあるイントロのバーバラの歌からシモンズ・ドラム・キットの音色が特徴的な展開が交互に出てくる。当時の最先端でもあったシモンズだが、今聞くと古めかしさは否めない音色だ。そして「エンペラーズ・ニュー・ギター」静かな出だしから徐々に忍び込んでくるようなメロディ。踊りだしたくなるリズム。隠れた名曲。次の「ザ・ハンバーガー・ソング」でも弾むようなリズムが心地よく、軽めの音色のキーボードをバックにバーバラが軽快にとばしていく。そして人気の高い「ヘンリー・アンド・ジェームス」。ユニークなフレーズのイントロから、これまたユニークなベース・ラインをバックにバーバラの歌が気持ちよく流れる。そして最後は「ザ・ワールド・スピンズ・ソー・スロー」。ゆったりとした静かなバラッドだ。まるで子守唄のようにやさしく、それでいて心弾むようなリズムを持ち、アルバムの最後はこれしかないだろうと言いたくなる様ないい曲だ。

この日本盤は、デイブ・スチュワート・アンド・バーバラ・ガスキンという長い名前を<スチュワート/ガスキン>という表記にして日本での名前の覚えやすさを狙い、タイトルも単に「ザ・シングルス」となっていた。まぁそれ以前の活動を知らないファンにはそれでよかったのだろうが、古くからのファンは少々違和感を感じたようだ。なんにしろ、当時シングルもすべてを手に入れるのはなかなか難しかったので、このアルバムが大変嬉しいリリースであったことは間違いない。
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by invox | 2009-03-08 18:56 | ■Music