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"As Far As Dreams Can Go" Dave Stewart and Barbara Gaskin

"As Far As Dreams Can Go"
(1988 - 2nd Japanese compilation)


e0006365_23264156.jpg 1. The Locomotion
2. Lenina Crowe
3. (I Know) I'm Losing You
4. Roads Girdle the Globe
5. (Do I Figure) In Your Life
6. When The Guards Are Asleep
7. Make Me Promises
8. Do We See The Light Of Day
9. As Far As Dreams Can Go

日本での2枚目のコンピレーション・アルバム。1986年までに発表されたもので前作「ザ・シングルス」に収めることのできなかった唯一のシングル盤『ザ・ロコモーション』のA面、B面に加えて、米国で1986年に発表されたコンピレーション・アルバム『アップ・フロム・ザ・ダーク』に収録されていた7曲をすべて収めている。特筆すべきは、これらの未発表曲のうち、2、3、6、8、9は1982年に、最初のアルバムとして企画された『ディスアピアー』のためにロンドンのトライデント・スタジオで録音されたものであることだろう。タイトルが悪かった(「消失」とか「消えうせる」の意)のか、『ディスアピアー』は結局当初の目論見どおりには発売されることがなかったが、そこに収録されるはずだった楽曲はすべてこうして日の目を見ているのである。

ちなみに『アップ・フロム・ザ・ダーク』はRykoレーベルがその後買収されてしまったために廃盤になってしまい、再発されないままなので、これらの楽曲を聴けるのはいまやこのアルバムだけになっているのだが、それもデイヴ・スチュワート・アンド・バーバラ・ガスキンのオンライン・ストアでのダウンロード販売のみ入手可能だ。

1曲目の「ザ・ロコモーション」はいわずと知れたリトル・エヴァの大ヒット曲だが、これを含めて全9曲中、4曲がカバー曲だ。

・The Locomotion (Little Eva)
・I Know (I'm Losing You) (The Temptations)
・Roads Girdle The Globe (XTC)
・(Do I Figure) In Your Life (Honeybus)

前作と違い、シングルになったのは一組だけなので、このアルバムの方がよりアルバムらしいと感じてしまうのは気のせいだろうか。最後の曲がとても切ないのがそういう感じを与えているのだろうか。1曲目の「ザ・ロコモーション」は、ものすごい数のアーティストがカバーしていることでも有名だが、このデュオのシングル発表直後にカイリー・ミノーグがカバーしてヒットしている。しかもアレンジが似ている(といってもなんの捻りもなくなってしまっているのだが)。2曲目はオリジナル。元気の良いコーラスが印象的だ。この曲の出だしの歌詞の一節がそのまま最初のコンピレーション・アルバムのタイトルになっている『Up From the Dark』というフレーズだ。3曲目は再びモータウン楽曲のカバー。こうしてみると60年代のモータウンというのはすごく素朴でいい曲が多かったんだなぁと思えてくる。イギリス的な解釈と大風呂敷を広げることはしないが、デイヴ・スチュワートのセンスによるカバーは、私のイメージするイギリスそのものだ。4曲目は、かなり異色な感じがするが、なんとXTCのカバー。当時の日本盤に付いていた解説では、XTCのアンディ・パートリッジとデイヴ・スチュワートはまったく面識がなかったのだそうだが、ピーター・ブレグヴァドのソロ・デビュー・アルバム「裸のシェークスピア(ネイキッド・シェイクスピア)」において、デイヴが1曲、アンディ・パートリッジが残り全てをプロデュースしているという<接近遭遇>はあったのだ。事実、ピーター・ブレグヴァドのそのアルバムからのシングルはA面がデイヴのプロデュースした「ハウ・ビューティフル・ユー・アー」でB面はアンディ・パートリッジがプロデュースした楽曲になっている。さて、わき道はそのくらいにして、この<道路が地球を取り巻いている>は、2曲目にも通じるような元気の良い飛び跳ねるリズムが特徴的な楽曲だ。いかにもXTCらしい曲なのだが、XTCの特徴であるアンディ・パートリッジのギターの代わりにキーボードによるバッキングが強烈に響いてくる。ボーカルがバーバラなので適度に力が入っているようで抜けているようで、絶妙なバランスを創り出している。5曲にはイギリスのあまり有名でないグループのカバー曲。とてもしみじみとしたバラッドだ。こういう曲が間に挟まっているのもこのデュオの得意技だろう。続く6曲目もオリジナル曲だ。派手なイントロから元気の良いメリハリの強いフレーズが飛び出してくる。バーバラのボーカルはアクセントの強いものになっている。7曲目はシングル「ザ・ロコモーション」のB面だった曲。とても静かなイントロから空間の広がりを感じさせるアレンジのミドルテンポのバラッド。心に染み入るとはこういう曲のことを言うのだろう。8曲目では、前半のゆったりとしたリズムでの歌を聞かせるパートから、徐々に再び明るい跳ねるリズムのポップな曲だ。そして最後の曲。これがゆったりとしていながらも、雄大な景色を目の前に広げて見せてくれる秀逸な曲だ。広大な平原と山々の織り成す夕暮れの景色というか、視界を埋め尽くす満天の星空と言うべきか、はたまた温かな日差しの下で丘の上から眺める大海原と言うべきか。とにかく言葉には出来ない良い曲だと思う。

MIDIが企画した2枚のコンピレーションは、当時彼らが録音していた全ての楽曲を網羅している点で高く評価されるものだし、楽曲の配分もそれぞれに拘りをもって行われた点でもアーティストの意向に沿ったものだったと言える。この2枚は切り離して独立に聴くことはもちろん、2枚併せて一つの作品を形成しているとも言えるだろう。幻のデビュー・アルバム『ディスアピアー』を、この2枚から再構築してみる(意図されていた曲順は不明だが)のもファンにとっては楽しみの一つだ。

彼らは、この2枚のコンピレーション・アルバムを持って、デイヴ・スチュワート・アンド・バーバラ・ガスキンとして一つの活動の区切りをつけたように思える。そして、MIDIレーベルとの次のアルバムが、改めて、再出発(再デビュー)としての位置づけにあるように感じるのは私だけだろうか。
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by invox | 2009-03-11 23:27 | ■Music