ブログトップ

Out of My Book

invox.exblog.jp

Official inVox Blog; Watched, Read and Listened in my real life.

Dave Stewart and Barbara Gaskin 日本公演を振り返って

ちょっと時間が経ってしまったが、私自身にとっては、まだ、頭の中で彼らの音楽が鳴り響いているので、もう少し書いておきたいと思う。

<< Dave Stewart and Barbara Gaskin Live in Japan 2009 20th Mar. >>

e0006365_14342717.jpg01. Jupitar Rising
02. Rich for a Day
03. Henry and James
04. Let Me Sleep Tonight
05. Walking the Dog
06. Any Guru

- 休憩 -

07. In a Silent Way
08. Shakin' All Over
09. This Wind Blows Everywhere
10. Arms of Miklosko
11. Rat Circus

- アンコール -

12. Lobster in Cleavage Probe
 ~ Whole Lotta Shakin' Going On in My Heart (Since I Met You)
 ~ Waiting in the Wings(メドレー)

- アンコール2 -

13. Walking The Dog(再び)



初日だということで、ちょっと緊張気味に3人が出てきた。客席は大きな拍手。その拍手もやんでしんと静まり返った中での1曲目は新曲だった。ニュー・アルバムの1曲目でもあるこの曲「ジュピター・ライジング」は華やかでメロディアスでユニークで、ポップでハードで、まさにオープニングに相応しい曲だ。耳に残るリフレインも素晴らしい。のっけからいい感じだ。この1曲だけでも彼らのライブが素晴らしいことを実感できる。「私の暗い部屋で」という出だしから、「木星が昇る」のリフレインまで。難しいメロディ・ラインと転調をこなすのは、楽器よりも生身のボーカルが一番難しいはずだ。

続いて、懐かしいB面曲「リッチ・フォー・ア・デイ」。ハードでありながらもオリエンタルな雰囲気を持ち、私も大好きな曲だ。デイヴの刻む(キーボードによる)リズム・ギターのハードエッジなリフにアンディの本物のギターが絡んでいく。この辺はデイヴの手元が良く見える場所だったことに感謝したい。手元が見えないとどちらがどの音を出しているのかが良く分からなくなることもしょっちゅうなのだ。それにデイヴのソロはまるっきりギターに聞えることも多いのだから尚更だ。後半にバーバラがパーカッションを入れるところがあるが、とてもかわいい。途中の「ハッ!」と叫ぶところのバーバラの何と格好良いことか。

続く3曲目もB面曲だが、大胆にアレンジが変えてあるあたりが彼ららしい。打ち込みを使用しながらも決して同じものをずっと使ったりはしない。さらに、この曲では途中バーバラによるキーボードのソロが入る。これがまた味わい深いものだった。完全に即興のようで、考えながら弾いている様子が良く分かる。ちょっと声がつらそうな部分もある(「ヘンリー・アンド・ジェームズ」の「ジェームズ」の部分など)が、ちゃんと最後まで歌ってくれた。

そして4曲目はまたも新作から「レット・ミー・スリープ・トゥナイト」。とても優しいバラッドだ。前回の来日公演時にも演奏されたが、それとは当然アレンジが異なっている。この曲が実は、以前ロンドンに住んでいたときに、フランクという深夜までずっとでかい音でTVを見ているとてもうるさい隣人に対しての「頼むから寝かせてくれ~!」という歌なんだとデイヴが解説。まさかそんな歌だとは思ってもいなかったのでとても驚いた。どう聴いてもラブ・ソングにしか聞こえない切ないメロディなのだ。

次はカバーで「ウォーキング・ザ・ドッグ」。今回、彼らが持ち込んだ販売品の中にこの曲のCDシングルがあったが、そのアレンジをベースにしているのかな? このCDシングルは3曲入りで随分と昔にドイツのLINEレコードがイギリス進出を目論んで発売したもの。そのうち2曲はディスク・ユニオンで新作「グリーン・アンド・ブルー」の購入特典として付けられているCDRにも収録されている(ジャケットはもちろんないし、ディスクも市販の白いCDRそのものだ)ので持っていなければぜひ探してみて欲しい。アルバムとは若干異なるミックスなのだ。話がそれた。ワンワンと犬の吠える声が沢山!

前半最後は、2001年にも演奏された曲でもちろん新作に収録されている「エニィ・グルー」。アレンジはもちろん異なっている。以前のライブよりも華やかなものになっているのではないだろうか。それにしてもおかしな歌詞だ。これもまた耳に残り忘れられない。そして休憩。デイヴが、休憩次は20年後だとジョークを飛ばす。すぐに実際は15分後だ、とにやりと訂正。
e0006365_1435518.jpg
後半の幕開けはアンディがデイヴと共にキーボードを弾くという趣向の「イン・ア・サイレント・ウェイ」で始まった。ウェザーリポートのキーボード奏者ジョー・ザヴィヌルの曲のカバーのようだ。バーバラのスキャットが素晴らしい。

この静かな曲のあとはロックンロール「シェイキン・オール・オーバー」だ。1996年のロンドン公演や、前回の来日公演でも演奏されたし、TLG記念CDの1曲目でもあったので覚えている人もかなりいたのではないか。でも、イントロからアレンジが大きく変えられている。このアレンジは、今回の新作「アワー・ムーン」に収録されているものと同じようだ。2001年のライブ後に(録音を)「やり直し」と言っていたバーバラとギャヴィンの声が思い出された。よりハードなアレンジになっている。

そして、同じく「アワー・ムーン」収録のバラッド「ディス・ウインド・ブロウズ・エヴリウェア」が続いて演奏された。この曲がまた素晴らしい。どうして本体に入れなかったのだろうかと思えるほど素晴らしい曲だ。心に染み入るとはこういう曲のことを指すのだろう。これもまた耳に残る歌だ。

続いてはサッカーの名ゴールキーパーであるミクロスコ(Ludek Miklosko、元チェコ代表)に捧げた歌だと紹介があった。デイヴ自信はチェルシーの大ファンだそうだがミクロスコはウエストハム(WestHam)の選手なのだそうだ(現在は引退し、コーチとして同チームでゴールキーパーを指導)。サッカー会場の大歓声のうねりを思わせるような大きなリズムが心地よい。これもまたアルバムには収録されていない。まったくの新曲だ。いや、本当に驚かされる。もう次のアルバム用の曲もかなり出来ているのではないだろうか。そう思ってしまった。

そしてTLGでも演奏した「ラット・サーカス」。ミュージシャンからの搾取がいまだにまかり通っている音楽業界のクレイジーなあり様を皮肉った曲だ。ノリがよくこぶしを突き上げて一緒に叫んでしまいたくなる曲。最後のバーバラによるミニ・シンバルのアタックの強い演奏がとても強烈だった。これで本編は最後。客席に手を振り、三人は舞台袖に消えていった。

3人の後姿が見えなくなる前からアンコールを求める拍手が始まり、程なく3人が戻ってきた。そして感謝の言葉を述べて、デイヴが一人で演奏を始めた。ハットフィールドの「ロブスター」だ。ピップ・パイルに捧げるという前置きがあった。途中からバッキングトラックが重ねられ、ハードな展開になり、ひと段落着いたところでリズムを刻むリフが始まり、次の曲に変わる。そしてバーバラとアンディが加わり、さぁロックンロールの始まりだ。これも1991年の初来日から毎回必ず演奏している曲「ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイング・オン・イン・マイ・ハート(シンス・アイ・メット・ユー)」なのだが、そのたびにその前に演奏される曲が異なっているようだ。前回2001年は「エンド・オブ・ザ・デイ」だった。今回のアレンジは以前よりもハードかもしれない。アンディがさびの部分のコーラスをノリノリで歌っているのがかわいらしい。そして曲の最後の部分では、これもまた同じ展開で「ウェイティング・イン・ザ・ウイングス」を引用して締めくくった。これだけで雰囲気がデイヴ・アンド・バーバラになってしまうのだからたいしたものだ。
演奏も圧倒的だ。客席は大興奮したままだが、3人は再びお辞儀をしてステージを去った。

そして再びアンコールの拍手が沸き起こる。三度姿を現した3人だが、デイヴが「君たちが拍手をし続けるなら私たちも演奏し続けるよ」と笑顔で言った。しかし、バッキング・トラックに予備はなく、再び「ウォーキング・ザ・ドッグ」を演奏。この曲本当に好きなんだなぁ。最後のアンディとデイヴの掛け合いが面白い。しかし、これもまた終了。とうとう本当に終わってしまった。

終了後、途中のMCでの予告どおり、しばらくすると3人が出てきて気さくにファンと話を始めた。サインをもらったり写真を撮るファンも。ファン・イベントが日曜に予定されていたので何も準備していなかったファンで慌ててCDを購入した方も何人かいたようだ。まぁなんと和やかなこと。エンジニアのテッドもニコニコ顔だ。CDの売り場に行って何枚売れたかを確認していた。

これが、コンサート第1日目の出来事。

●二日目

この日の演奏は、曲順が入れ替わったものの演奏された楽曲自体は同じだった。ポイントとなるオープニングや後半の1曲目は同じ。構成を良く考えて順番が決められているようだ。昨日はアンコールでの演奏だったメドレーを本編に組み込んできたのにはちょっと驚いた。前半、「ヘンリー・アンド・ジェームズ」でバーバラが歌いだしや間奏へと切り替わるところを少し間違えたりということがあり、時差ボケの影響があるのかと思っていたら、「リッチ・フォー・ア・デイ」の最後の方では声が掠れるという場面もあったりで心配したが、その後見事に立ち直り、最後まで素晴らしい歌声を聞かせてくれたのでホッと一安心。

<< Dave Stewart and Barbara Gaskin Live in Japan 2009 21st Mar. >>

01. Jupitar Rising
02. Henry & James
03. Rich For A Day
04. Let Me Sleep Tonight
05. Walking The Dog
06. Any Guru

- 休憩 -

07. In A Silent Way (Joe Zawinul)
08. This Wind Blows Everywhere
09. Arms Of Miklosko
10. Lobster In Cleavage Probe
 ~ Whole Lotta Shakin' Going On in My Heart (Since I Met You)
 ~ Waiting in the Wings(メドレー)
11. Rat Circus

- アンコール -

12. Shakin' All Over

- アンコール2 -

13. Walking The Dog



e0006365_14355229.jpgこの日は、客席に、なんとデイヴ・シンクレアが来ていた。忙しい中、わざわざ駆けつけてくれたらしい。ちょっと話をすることが出来たのだが、彼自身のアルバムもほぼ完成に近づいているらしい。バンド・スタイルなのだそうだ。ロバート・ワイアット他の豪華なゲスト陣が噂されているだけに早く聴きたいものだ。しかし、デイヴ・スチュワートは、ソフト・マシーンのマイク・ラトリッジやキャラバンのデイヴ・シンクレアのコピーから始めたと言っていただけに、この二人のツー・ショットはちょっと珍しくも嬉しいサプライズだった。

これが、コンサート第2日目の出来事。

●そして、最終日。

この日は昼頃から生憎の雨。公演はファン・イベントを考慮したマチネーだ。いよいよラスト。気合が入る。

<< Dave Stewart and Barbara Gaskin Live in Japan 2009 22nd Mar. >>

01. Jupitar Rising
02. Shakin' All Over
03. Henry & James
04. Rich For A Day
05. Let Me Sleep Tonight
06. Arms Of Miklosko

- 休憩 -

07. In A Silent Way (Joe Zawinul)
08. This Wind Blows Everywhere
09. Walking The Dog
10. Lobster In Cleavage Probe
 ~ Whole Lotta Shakin' Going On in My Heart (Since I Met You)
 ~ Waiting in the Wings(メドレー)
11. Rat Circus

- アンコール -

12. Any Guru

- アンコール2 -

13. It's My Party (by Mobile Ringtone!)
14. Arms Of Miklosko



e0006365_14361992.jpg「ジュピター・ライジング」も3度目ともなれば、ある程度さびのコーラスは歌える様になったぞ。それにしてもメインのメロディ・ラインの難しいこと。バーバラは本当によく歌えるなぁ、と感心しきり。それにしても今日の演奏は一番気合が入っているように感じられる。デイヴのソロ・パートなんて鳥肌ものだ。これでもかと弾き倒してくる。アンディも最高に弾けた演奏と歌を見せてくれた。バーバラも今日が一番声が出ていたかもしれない。いつものようにちょっと内股気味で両手を下げて歌うスタイルはキュートとしか言いようがない。歌っていないときにバーバラから見て右側のアンディ、左側のデイヴを交互に、リズムに合わせて首を振る仕草もかわいい。なかなか笑顔を見せないのだが、その分笑顔が出た時には客席も笑顔が満開。しゃべるのはデイヴの役割だが、これがまた低い声で決して良い声とは言えないのだが味わい深い。この人たちには派手なアクションなど必要ないと思わせる本質的なスター性がある。スター性というと語弊があるかもしれないが、要するに見るものの耳目を自然と集めてしまうのだ。音だけでも、ステージでも。

客席にはピーター・バラカンさん、難波弘之さん、小川文明さん、それに元キーボード・マガジンの編集長で1991年の来日公演の主宰者でもあった松中さんの顔が見える。ステージに負けず豪華な顔ぶれだ。難波さんが時々デイヴの手元を見るために席を立ってうろうろしていたのが印象的だった。

e0006365_14364124.jpgライブ終了後にはファンイベントが行われた。ほとんどのファンが残っていたのではないだろうか。会場のセッティングの関係で一旦外に出たが生憎雨が本降り。20分程度で中には入れた時にはかなり濡れていた人もいた。ステージで使ったスモークが少し残っていたが、少し明るくされた客席に特設のテーブル。そこに右からデイヴ、バーバラ、アンディの順に座って質疑応答やサイン。サイン・セッションと質疑応答セッションは一応分けられていて3人が食べ物や飲み物を口にする時間を確保していたようだ。質問はいくつも出たが、面白かったのは誰と共演したいかというもの。答えはアラン・ホールズワースだった。どうやらアランはブルフォードには10分ぐらいしか在籍していなかったらしい。^^); ジャズについてもジョーク交じりでの答え。決まりごとが多すぎて誰も完全にはそれを守れていないのがジャズ・ミュージシャンだとかなんとか。まぁどこまで本気なのかつかみどころがない人だ。最後はサインと写真を自由にという形で流れ解散。

これが、コンサート最終日の出来事。

●後日談

翌23日、朝7時前に成田空港で航空機事故が起きた。そのため、デイヴとバーバラの一行はその日の便に乗ることが出来なかった。そして翌24日の昼頃に新宿のディスク・ユニオンに現れたという。自分たちの新作がどのように売られているかを見たかったのだそうだ。特典のCDRも見せてもらっていた。そしてCDよりもLPのコーナーを色々と見ていたらしい。結局、日本に1週間いたことになる。本当にお疲れ様でした。録音していない曲が今回のライブだけでも3曲ありました。前回の来日の時にはもう1曲("End of the Day")。ぜひ新作を今度はもっと早く出して欲しいと願わずに入られません。そしてその新作と共にもう一度来日公演を! 出来れば彼らが還暦を迎える前に!
[PR]
by invox | 2009-04-05 14:37 | ■Music