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「スローターハウス5」カート・ヴォネガット・ジュニア 伊藤典夫訳

e0006365_2237971.jpg続けて読んでしまいました。ヴォネガット。今更ながらもっと早くから読んでおけばよかったと思います。せめて大学生の頃に出会っていれば今頃全部の作品を読んでいただろうに。今からでも遅くはないので読んでいきましょう。

時間と空間を越えて瞬時に複数の出来事を行き来することは楽しみか地獄か。答えは地獄でもないし、楽しみでもない。ひたすらに受け入れるしかない事実。そのなかでは時間と空間は大して差はないようにも思える。ドレスデンの博物館・美術館の展示会を以前紹介したが、そのドレスデンで連合軍の大空襲による大虐殺が行われたというのは、教科書でのほんの1,2行だけの知識に過ぎなかった。本当の修羅場は想像の域を超えるものなのだろう。

e0006365_22365060.jpgフラッシュ・バックという現象はもしかしたら、この本に書かれているような体験のことなのかもしれない。それにしても「屠殺場5号」という古い邦題では何とイメージが異なることか。この作品は映画にもなっているようで、監督は「明日に向かって撃て」「ガープの世界」「スティング」「華麗なるヒコーキ野郎」「リトル・ロマンス」を手がけたジョージ・ロイ・ヒル。こちらも気になるところ。なんて言ったって、ヴォネガット自身がこの映画のことを褒めているのだ。
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by inVox | 2006-06-28 22:37 | ■Books
「タイタンの妖女(The Sirens of Titan)」
 カート・ヴォネガット・ジュニア(著)、浅倉 久志(訳)

e0006365_22461140.jpg著者の名前を知り、読みたいと思い始めた時からすでに25年が経っていた。なぜかずっと後回しになっていたのである。ひとつにはいつでも店頭で目にしていたことで「いつでも買える」という思いがあったからだ。そして現在、爆笑問題の太田光が帯に推奨文を載せたことで一般的な知名度もあがってきた。

本当に読みたかったのは「スローターハウス」だったが、たまたま店頭にあったのがこれだったのでまずはこちらを読んでみた。どちらかというとイギリス的な無茶苦茶なユーモアをベースに、デモアメリカ的な世界観を背景にしたお話。だから「銀河ヒッチハイクガイド」のような能天気さはない。そこがアメリカ的なものを感じさせるのかもしれない。最後に辿り着くのが「国」か「神」になるのがアメリカだとすると、これはまさにアメリカ的なお話かもしれない。とふと思った。他の作品も十分手軽に手に入るので読んでみようっと。
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by inVox | 2006-06-20 22:46 | ■Books
Pauliina Lerche 近況で紹介されているが、ポウリイナ・レルヒェの新作がフィンランドから届いた。

「MALANJA」(2006) PAULIINA LERCHE

e0006365_16532759.jpg  1. Jo mie viikon
  2. Touko
  3. Etelamyesky
  4. Malanja
  5. Kaisan katrilli
  6. Tanssi poika
  7. Kirkonkellot II
  8. Amerikan katrilli
  9. Yon tytto
 10. Tulikatrilli
 11. Aallot

ポウリイナ・レルヒェ2枚目のソロ・アルバムである。アコーディオン、カンテレ、バイオリンなどを弾き、歌を歌う彼女の才能は無限だ。全ての楽曲は基本的に彼女の手になるもので、1,6がとラッドをベースに手を加えたもの、9,10がそれぞれ家族との合作。ボーカル曲は1,4,6,9の4曲だけだがこれらがまた素晴らしい。彼女の凄いところはアコーディオン曲であればアコーディオン、バイオリンならバイオリン、カンテレならカンテレ、歌なら歌、といった具合に彼女の存在が強烈に感じられることにある。これだけ複数の楽器をこなし歌ったり歌わなかったりしているにもかかわらず、このアルバムのどの一曲をとっても、その音楽の中心がポウリイナ・レルヒェでない音楽がひとつもないことだ。

今回驚かされたのにはもうひとつ、本作品がスーパー・オーディオCDのハイブリッド仕様になっていることだ。これはもうSACDのデッキで再生してみたくなること請け合い。ピーター・ガブリエルの「UP」やリマスターがSACDハイブリッドで出たときも相当悩んだが、このアルバムを聴いたからには何としてもこの歌声をSACDで聴いてみたい。

e0006365_16535573.jpg音楽はフィンランドのカレリア地方の伝統的なものからよりイギリス、アメリカ的なものまでを包含しながらも結局はフィンランドのカレリアに帰ってくるというような印象の奥の深いもの。本人の音楽的な才能はともかく、人間的な魅力もまた底知れない。全開の初来日での彼女のパフォーマンスは私をとりこにしてやまなかった。ぜひとも再来日を期待したい。

この秋に発売が予定されている日本盤でも1枚目からのボーナストラックを含めた形で出るそうなのでそちらにより詳細な解説をも期待したいところだ。フィンランドでの夏のフェスティバルではバンド活動であるブーラカットでも、ソロでも出演することが決まっているというので、ぜひブーラカットでの来日公演も実現させて欲しい。こちらはバンドならではのスリリングな音楽が展開されている。
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by inVox | 2006-06-19 12:00 | ■Music
e0006365_152459100.jpg土曜日の昼下がり、上野公園を抜け、東京藝術大学の美術館で行われている「ルーヴル美術館展 -古代ギリシア芸術・神々の遺産- 」へ行ってきた。

e0006365_15335334.jpg古代ギリシアの彫像が中心で、それに建築物に付随していたレリーフや壷などの焼き物が紹介されていた。ルーブル美術館というとどうしても絵画中心のイメージがあったので最初は違和感があったが、この時代には紙はまだ貴重品で羊皮紙しかなかったことを考えると「絵画」はありえなかったのだと気が付いた。その代わりに壷などの焼き物に施された絵付けが絵画と同等の意味を持っていたのではないだろうか。

e0006365_15341829.jpge0006365_15362338.jpg面白かったのは、彫像のかなりのものが鼻が欠けていたこと。昔の風習の中に、戦いで勝った者は勝利の証拠として倒した者の鼻や耳を切り取って持ち帰った、というものがあるが、これらの彫像ももしかすると類似の意味で占領者が鼻を削り取って行ったのではないだろうか。もちろん、長い年月を土の中に埋もれてきたものや風雨に晒されてきたものも多く、自然の力によって原型を損なわれたものもあるに違いないが、鼻だけ、というのはいかにも人為的である。

e0006365_15345358.jpge0006365_15351877.jpgルネッサンス期に手本とされたギリシア美術だが、写実的というかリアリズムというか、筋肉や布の触感が素晴らしい。その中で面白いと思ったのは仮面である。演劇が盛んだったギリシアにおいての仮面劇の位置づけがどうだったのかはよく分からないが、リアルでありながらも固定された表情を持つ仮面をどのように用いたのか。日本の昔の演劇である能でも仮面を用いるが、芝居・演劇とはそもそも仮面をかぶる形式のものがオリジナル・出発点なのだろうか。ふとそういう疑問を抱いた。
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by inVox | 2006-06-18 15:30 | ■Arts
今年60歳の若さで亡くなったエルトン・ディーン(Elton Dean)の追悼ともなったソフト・マシーン・レガシー(Soft Machine Legacy)の来日公演初日に行ってきました。昼間は30度近くまで気温が上がり偏頭痛と肩凝りを併発しコンディションは最悪。ライブ直前に軽く食事を取り薬をのんだはいいが眠気が…。

会場は川崎のクラブ・チッタ。もはや御馴染みの場所で、客席に対するステージの高さや並べられている椅子の貧弱さは最初から覚悟の上。開園まで5分くらいのところでビート・クラブの映像が流された。「これが秘蔵映像か?」とあちこちで不満の声。見たことがないので個人的には満足。そして開演時刻。4人がステージへと現れた。

THE SOFT MACHINE LEGACY Live in Japan 2006
17th(Sat), June 2006 at Club Citta Kawasaki

John Etheridge (e-guitar, voice, MC)
HUGH HOPPER (e-bass, MC)
John Marshall (drums)
THEO TRAVIS(soprano & tenor sax flute)

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昨年からこの名前での活動についてはまったく音的な予備知識なしに聴きに行ったのだが、頭の片隅には、数年前のソフト・ワークスでの印象のなさが残っており、爺さんたちのオーソドックスなジャズだったら嫌だなぁ、と不安があった。しかし、ジョン・エサーリッジが思いのほかロック的なノリを持ち込んでいる。また、シオ・トラヴィスもエルトンとはまったく個性が異なるものの、すでにカンタベリー系の様々なアーティストのアルバムでの客演で聴いたことのある演奏は予想以上に違和感がない。このシオの加入がエサーリッジの持つ個性とあいまって、マーシャルとホッパーを強く刺激しただろうことは想像に難くない。二人とも以前見たときよりも激しい演奏を見せてくれた。

ソフト・マシンの旧曲もオルガンがギターに変わったことで新鮮なものとして聞こえてきたのはなんとも不思議だ。なぜなら元々こういうアレンジなのだと言われてもおかしくないほどしっくり来るのだ。帰り際にエルトンとの違いを知りたくて昨年のライブ「In Zaandam」を買った。そうそう、このコンサート主催がテレビ朝日だとは知らなかった。深夜でもいいから放送してくれないかなぁ…。
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by inVox | 2006-06-17 23:04 | ■Music
Pauliina Lercheの最新アルバムがリリースされたという案内が本人から届きました。それによると、リニューアルされた彼女のホームページからオンラインで購入できるとのこと。

ということで、彼女のホームページに行ってみるとずいぶんとすっきりしたデザインに変わっていました。彼女のディスコグラフィを見てみるとヴァルティナの1st,2ndを含めて全部の作品が並んでいて、あらためて「欲しいなぁ~」と思ってしまいました。

e0006365_6271557.jpg早速、彼女の新作(2枚目のソロ・アルバム)「Malanja」を購入。ついでにといっては何ですが、ご主人のピーターさんのソロ・アルバムも一緒にポチっとな。

肝心の中身ですが、彼女のサイトではほんの少しだけ試聴が出来ます。4曲前作以上に素晴らしい作品であることは間違いなさそうです。

この秋に日本でも「ビーセクション(besection)」というレーベルからこの新作は、前作「Katrili」からの曲を何曲かボーナストラックとして追加した形でリリースされるようです。これに合わせて再来日の可能性も検討されているようで、心ひそかに期待しています。
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by inVox | 2006-06-13 06:27 | ■Music
「タフの方舟」ジョージ・R.R.マーティン

e0006365_23123153.jpge0006365_23125083.jpg 1.「禍つ星」
 2.「天の果実」

ということで、2冊読了。ちょうど「七王国」も読み始めたところだったので、いいタイミングだったのかも。「七王国の玉座」が若干子供向け的なシンプルなお膳立てであるのに対してこちらはもっとシンプルだが奥が深い。プロローグと七つの中・短編を2分冊でまとめてあるが、読み出すととまらなくなり、一気に通して読んでしまった。1冊目の裏表紙に書かれている「宇宙一あこぎな商人」というのに騙されてはいけない。あこぎなのは、そのあおり文句を使った訳者だ。そこににやりと笑っている顔が透けて見える。やられたぁ、という感じだ。実際、新刊で出たときには帯に書かれたこのあおり文句で買うのをやめてしまったのだから。おかげでこの本の面白さを知るのに1年も無駄にしてしまった。いったいどうしてくれるんだと言いたい。作者には「氷と炎の歌」もどんどん書いて欲しいが、このシリーズもぜひ続編を書いてもらいたいものだ。ぜひとも。
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by inVox | 2006-06-07 23:12 | ■Books
"Accoustic Mini Live in London May 4th 2006" Kevin Ayers

というわけで、こんなコンサートが開かれていたようです。ケヴィン・エイヤーズの公式HP によれば、チベット文化を守るための国際組織「ROKPA」のチャリティ・コンサートの一環としてロンドンのコブデン・クラブで演奏を行った模様。ケヴィンのHPでは、その演奏をおよそ32分ほど聴くことが出来る。といってもインタビューも込み、のようだ。

演奏は2曲目以降はMax la Villaというギタリストによってサポートされているが、二人共にアコースティック・ギターなので音だけだとなかなか判別は難しい。この二人の組み合わせは今年後半にも何かライブを計画しているようだ。

"Accoustic Mini Live in London May 4th 2006"  Kevin Ayers

e0006365_15213199.gif1. champagne and valium
2. eleanor's cake (which ate her)
3. I don't depend on you
4. lady rachel
5. may I
6. ballbearing blues
7. blaming it all on love
8. whatevershebringswesing
9. interview

また、久々の新作の録音がニュー・ヨーク、ツーソン、そしてロンドンで行われているようだが、これについての詳細はまだ明かされていない。タイトルは『the unfairground』となるようだ。
"Playing on the new album"として紹介されているのは、以下のバンドとミュージシャン。

The Ladybug Transistor & Joe Mcginty with..........
Architecture in Helsinki
Kevin Barker
Steve Hillage
Hugh Hopper
KG
Julian Koster
Phil Manzanera
Robbie Mcintosh
Bridget St. John

なんとも、新作を楽しみにさせてくれる面子ではないだろうか?
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by inVox | 2006-06-03 15:21 | ■Music
「ナポレオンとヴェルサイユ展」江戸東京博物館

e0006365_22362872.jpg両国にある国技館の隣、ごついコンクリートの建物はその特別な形状と大きさでN'exの中からよく見ていたが、行ったのは今回が初めて。駐車場には観光バスが大挙して並び、中にはご高齢のご婦人方がわいのわいのと煩いが、まぁいらいらさせられるほどではなかった。

e0006365_22365074.jpg展示は絵画を中心としてはいるが、宮殿の部屋を模した展示スペースにテーブルやいすなどの家具類を配したものもかなりあったし、皇妃の装身具や、花瓶や食器、レジオン・ド・ヌール、剣に銃といったものまでかなりバラエティに富んだ展示である。絵画はナポレオンの肖像画を中心とした当時の皇族や各国王族の肖像画が単独の個人や家族ごとで多数。残りの大半は有名な戦場での何とかの戦いの前夜、とか何とかの戦い、などで占められていた。

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面白かったのは、肖像画がわりとユーモラスに見えたこと。決してそういう狙いでかかれたものではないだろうが、ほとんどの肖像画が、人物が興奮というか高揚して気分がうきうきしているように見えるのだ。もちろんそうでないものもいくつかあったが、印象に残ったのはそういった「幸せな気分」をかもし出しているものたちだった。フランス革命を経て、軍事的な領土拡大を果たしながらも占領した国の政治や文化を尊重したナポレオンの宮廷に集まった人たちだからだろうか。そこに「解放者」ナポレオンへの賞賛が見て取れるのかもしれない。6月18日まで
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by inVox | 2006-06-01 22:37 | ■Arts