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Pauliina Lerche の日本公演、東京の最終日であった3月4日のセットリストがにゅうしゅできましたので、ご紹介しておきます。ただし、これらの曲名のうち、まだアルバムとして公式に発表されていない新曲については、題名はあくまでも「仮」ですのでご了承ください。

* Pauliina Lerche 2007 4th Mar. Pit-inn Shinjuku, Tokyo

KAUNIAINEN/PIT INN

  1. VOT I KAALINA    (Katrilli)"...a story about friendship."
  2. RAPAKATRILLI     (Katrilli)"Slush Quadrille "
  3. ETELAMYRSKY    (Malanja) "Southern Storm""
  4. MALANJA       (Malanja) "Malanja"
  5. TULIKATRILLI    (Malanja) "Fire Quadrille"
  6. PAULIINA SOLO (Accordion) medley
     LIIANMIES      (Katrilli)"... a name of an island"
     CHURCHBELLS  (Malanja) "Kirokon Kellot"
  7. AMERIKAN KATRILLI (Malanja) "American Quadrille "
  8. TANSSI POIKA     (Malanja) "Dance, oh Boy"

<Short Break>

  9. MANE PAIVA     (仮題;新曲)
 10. TOUKO       (Malanja) "Spring"
 11. ORVOKIN VALSSIKATRILLI (Katrilli) "Waltz Quadrille for Orvokki"
 12. KAISAN KATRILLI  (Malanja) "Kaisa's Quadrille"
 13. LENTI KOKKO    (仮題;新曲)   "Fly Eagle"
 14. AALLOT (Pauliina, Tuomas, Timo) (Malanja) "Waves"
 15. LIILEELAILEE    (仮題;新曲)
 16. JO MIE VIIKON   (Malanja) "A Long Time..."

<ENCORE>

 17. KAIK MI       (トラッド:新曲)
 18. KAALINA TIMOJAA  (Katrilli)"a tune about the life of a young girl"

Pauliina Lercheは、ヴァルティナでデヴューしたわけだが、メインの演奏楽器はヴァイオリンだったという。その後、音楽高校、シベリウス・アカデミーと音楽の専門教育を受けながらポツリポツリと作品を発表している。1994年に結成されたBurlakat(ブーラカット)でもヴァイオリンと歌を担当しているが、現在の彼女のメインの演奏楽器はアコーディオンであり、その腕前はフィンランドの代表的アコーディオン奏者マリア・カラニエミの次と目されるほどである。また、近年ではカンテレを演奏することも多く、今回の来日公演でも、前回の来日と同様に15弦カンテレ(アコースティックにマイクを付けただけの簡単なもの)を自在に演奏して見せてくれた。日本には過去に東京芸大に1ヶ月ほど琴の勉強できたこともあり、あるいは、妹ハンナマリがやはり留学生として3ヶ月ほど東京に来ていたこともあって、かなりの親日家でもある。今回はハンナマリがヴァイオリンを担当していたこともあり、パウリーナがヴァイオリンを弾く姿を見ることはできなかったが、ぜひ、いつか見てみたいものだ。

今回のツアーのテーマでもある「日本盤」とは、Pauliina Lercheの2枚目である「MALANJA」全曲に1枚目である「KATRILLI」から、ボーカル・ナンバー4曲を加え、曲順を再構成した日本オリジナル編集盤となっている。タイトルは「マランヤ(MALANJA)」で同じだが、1枚目を持っていない人にとっては実にお得な一枚だ。また、1枚目を聞いてみたいという気になった方は、彼女のホームページからショップ(フィンランドから購入したいのであればLevyvirastoから、米国からであればCDRoots、といったところで購入できるし、あるいは、海外のワールド・ミュージックやフォーク・ミュージック系の通販ショップで検索してみてもすぐに見つかるでしょう。

とみさんのホームページ「ROTTERS PAPER」でもレヴューが掲載されていますので、ぜひどうぞ。
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by inVox | 2007-03-22 00:09 | ■Music
「オルセー美術館展」 東京都美術館

e0006365_051384.jpg相変わらずの混雑だった。それでも以前見たものよりは比較的少ない方だったかもしれない。それがオルセー美術館という知名度のランク的には2番手、3番手の美術家だからなのかどうかは定かではないが、見るほうとしてはありがたかった。

e0006365_0515679.jpg有名な画家の作品も含まれているが、有名な作品は少ない。その方が見るほうとしては新鮮で助かる。やっぱり、見たことのない作品の方が面白いからだ。わりと日本人受けのする作品が多いのは、印象派の作品が多いからだろうか。解説によれば、「ポンピドゥー・センター国立近代美術館にフォーヴィスム以降の20世紀美術が収蔵され、ルーヴル美術館に古代からの美術品が収蔵されることになりました。そして、この2つの美術館のコレクションの間にあたる19世紀後半期の美術を収蔵する新たな美術館として誕生したのがオルセー美術館」ということになるそうだ。パリでは、ルーヴルと皮を挟んで反対側にあるとのことで、なんともうらやましい話だ。

e0006365_0521262.jpg印象派といえば、ルノワールが日本では人気だが、個人的にはルノワール以外の画家の作品の方が好みだ。正確にはルノワールには飽きただけかもしれない。印象派の作品は、歓声が合わなければ気持ち悪いだけだ。それが合う画家もいれば、会わない画家もいる。いやそういう作品もある、ということだ。写実的な風景画が好きな私としては、変な印象派の風景画は気持ち悪い。「印象」なのだから、自分の持つ「印象」と合わなければただの変な絵に過ぎないということか。

割引券もあるようだ。
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by inVox | 2007-03-17 00:14 | ■Arts
「マリー・アントワネット」 ソフィア・コッポラ

予告編などで見るキャピキャピなマリー・アントワネットの映像は見るのを「やめようか」と思わせるに十分なものだった。が、結局は見てしまった。マリー・アントワネットの実際の姿にどこまで近づけるのか、そこに興味があった。

ほんの14歳かそこいらでの結婚は、政略結婚と言えども大変なことだったろう。相手もまだ子供だ。専制君主制とは、国民や貴族にしてみても無責任な政治形態だったのだなぁ、というのがよく分かる。重大な政治的決断を即位して間もない若い君主に全部押し付けてしまうのだから。そうすることで利益を得る人々が結局はフランスのブルボン王朝を崩壊させたのだとも言える。もちろん、それをきちんと抑えて国を治める責任を持つのが国王なのだが、ろくな政治教育もなかったようだし、壊れてしまうのは時間の問題だったのだろう。
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その崩壊していく支配体制の中で、それに気づかずに退屈を囲っていたマリー・アントワネット。世継ぎをと急かされ、嫉妬や妬みにも晒されて、外国の宮廷で過ごすのはどんなものだったのだろうか。それは想像に難くない。その重さに耐えられなければ軽さに逃げるしかない。マリー・アントワネットはそうしたのだろう。だが、ラスト・シーンでヴェルサイユ宮殿を去る馬車の中の彼女は王妃の顔をしていた。

ソフィア・コッポラの作品は「ヴァージン・スーサイド」しか見たことがないが、割と嫌いではない。ただ、音楽の使い方はいまひとつだ。今回はバウ・ワウ・ワウやスージー・アンド・ザ・バンシーズなどが沢山使われていた。それらが映画音楽に向く、向かないというのではなく、それによって映画の(その場面の)印象が軽くなってしまうのが嫌だったのだ。
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by inVox | 2007-03-15 23:37 | ■Cinema/Movie
「墨攻」

e0006365_4253961.jpg日本の漫画が原作で、外国人監督が映画を作るというのもだんだん増えてくるのだろうか。何も知らずにこの映画を見てしまうと、原作も含めて本物の中国(香港)映画のような気がしてくる。原作は読んだことがないのだが、なかなか面白い映画だった。主演のアンディ・ラウについては、私は名前以外よく知らない。それもまた、素直に役のキャラクターだけが入ってきたことにつながり、そのまま感情移入に繋がったといえる。



e0006365_426061.jpg戦うに、守りを主とし攻めることをしないという墨家の考え方は初めて知った。攻めることをしないと言っても敵を殺さないわけではない。効率よく大人数の殺戮が敵を負かす鍵である、ということが語られている。攻めはしないが、いかに効率よく敵を殺すのか、という価値観に主人公が悩む姿は現代的なものかもしれない。最後には戦災孤児たちを引き連れて戦場を去る姿が象徴的だった。
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by inVox | 2007-03-14 04:26 | ■Cinema/Movie
"Pauliina Lerche Live in Tokyo, 3rd & 4th Mar. 2007, at Pit inn, Shinjuku"

e0006365_0104420.jpg前回の来日が2005年の5月後半だったので、すでに1年半以上経っていることになる。その間に2枚目のソロ・アルバム「マーランヤ(Malanja)」を発表し、また、伴侶であるペーター・レルヒェ(Peter Lerche)との双頭バンドであるクリヤ(Kriya)のデビュー・アルバム「クリヤ(Kriya)」も発表したり、ソロ、或いはバンドとしてのステージを数多くこなし、昨年はKihaus Festivalをプロデュースするなど非常に精力的に活動をしてきた。その一方で、ペーターとの間に女児を設けるなど私生活も充実していたようで、今回の来日公演への期待は非常に高かった。

しかし、結果は見事に裏切られた。そう、期待した以上の充実したステージを繰り広げてくれたのだ。前回の単独でのステージで感じていた「これをバンドでやるともっとすごいだろうなぁ」といった部分が現実になった。それも想像したものを遥かに越えて。まさに至福のステージを体験させてもらったと言える。

バンドとして彼女が引き連れてきたメンバーは、まず、実の妹であるハンナマリ。姉妹だけに声の質がよく似ていて、実際には違う声なのにコーラスでは見事に調和し、強化し合い、二人とは思えない厚みを与えている。リード・ボーカルを取る場面も多く、パウリーナ(Pauliina)の声にはかなわないものの、力強く、表情豊かな歌声は、それだけでも十分に説得力のあるもので、聴いていて心地よいものだった。また彼女の弾くバイオリンは、目立つプレイはないものの要所要所でアンサンブルを補強する役割を果たしていた。パウリーナのアコーディオンと重なり合い、アンサンブルの厚みを3倍にも4倍にもしていたと言えば想像できるだろうか。

多くの曲でアレンジを施していたのはギターとドブロを演奏するトゥオマス(Tuomas)だ。フィンランドでは珍しい楽器であるドブロを弾きこなす腕前はたいしたもので、実際彼は週に12時間ギター、マンドリン、バンジョー、ドブロの演奏を教えている先生でもある。パウリーナとともにオリジナル・ヴァルティナのメンバーだった(10歳から数年間)だけにキャリア的にも長い音楽経験がその演奏には深く反映されており、今回のライブ・アレンジの土台をきちんと作り出した上で、演奏するごとに異なるフレーズやアプローチを織り込んだりと柔軟な即興性をも持ち合わせた音楽性の高さは賞賛に値するだろう。彼は他に5つのバンドで演奏しているとのことで、そのうち"FRIGG"(フリッジと読むらしい)というバンドは2枚のアルバムを出し、公式HPマイスペースのページを持っているそうだ。今後も期待の持てるギタリストと言えるだろう。

もう一人のギタリストはパーカッションも兼任するユッカ(Jukka)だ。ステージではツンツンに立てた髪型がユニークで、とぼけた味わいを出していたが、演奏はトゥオマスに負けずにギターをこなし、今回金属製と思われ壷とカホンにジャラジャラ系のわずかなパーカッションだけでとてもユニークだがきっちりとしたリズムを演出して見せた腕前は素晴らしかった。バンドの中での曲のタイミングをキープする役割は彼のもので、展開部分の直前での彼の大きな掛け声は見ていて微笑ましくもエキサイティングな場面となった。彼はトゥオマスと同い年である。この二人のギターのアンサンブルはぴたっと決まっており、自分のギター演奏中にトゥオマスにチューニングを微調整させるなどの荒業も飛び出したりと見ていて飽きさせないステージングを見せてくれた。

ベースを担当するのは最年長のティモ(Timo)だ。大人しめに見える立ち居振る舞いに似合わぬFischのTシャツなどを着ていたりレッド・ツェッペリンが好きといった、バンドの中で唯一とも言えるロック系の趣味も持ったミュージシャンだ。とは言え自身の演奏する音楽はフォーク系であり、演奏はクラシックやロックの影響も見え隠れする安定したフレージングと豊かなリズムで曲の土台をきっちりと形作ってくれていた。彼もまた他のバンドでも演奏しているようだ。

こういったメンバーに囲まれて、パウリーナは実に生き生きとした演奏を聞かせてくれた。初日の公演で1曲目が終わった時に客席から「かわいい!」との声も聞こえていたように、表情の豊かさ、リズムを取る身振りのかわいさ、歌声の素晴らしさ、たどたどしい日本語や英語でのMC、そういったもの全てが彼女の魅力を客席に余すところなく届けていたように思う。ボタン式のアコーディオンと比べても小柄な体で驚異的なテクニックも持ち合わせているが、技術よりもむしろエモーショナルな部分での共感が聴き手に伝わってくるような演奏だった。これまで聴いたことのないようなものであるにもかかわらず、とても親しみやすいメロディは、初めて聴いた時の衝撃を思い起こさせた。これほどまでに心に届く音楽を生み出せるとはなんと素晴らしいアーティストなんだろう!2005年の初来日で一発でファンになってしまったのだ。その時の衝撃をそのままに、更なる進化を遂げたPauliinaの音楽に、今回は心の底から浸らせてもらった。

パウリーナもハンナマリも、エンヤに代表される昨今のケルト系の女性ボーカルのエコーだらけの音には抵抗があるようで、今回のステージでもリバーブについては一切要求しなかった。リバーブが多すぎると誰の声だか分からなくなるのだそうだ。その辺の考え方がしっかりしたボーカライゼーションに繋がっているのかもしれない。パウリーナとハンナマリがハモる時は、メイン・メロディをハンナマリが、低域をパウリーナが担当する場面が多かった。時々ハンナマリがとても高いラインをうたうこともあったりもしたが、基本的にはこの役割分担は一貫していたように思う。パウリーナの艶やかな声をもっと聴いていたいと思う私にとっては、メイン・ラインも彼女に歌って欲しかったと少しだけ思ってしまった。アンコールで聞かせてくれた唯一のトラッド曲ではバックなしの二人だけでのアカペラで客席を圧倒。二人の息のあった力強い歌声は何物にも替え難い魅力に満ち溢れていた。

もともとフィンランド語など分かるはずもないが、フィンランド人でさえ分かる人の少ないカレリア地方の方言で歌われるパウリーナの歌は、言葉を越えて心に入ってくる。これこそが音楽の力なのだ。一生懸命に歌の扱うテーマやストーリを説明してくれてはいたが、例えそれらがなくとも私はパウリーナの歌を聴きたいと思う。だって大好きなのだから。
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by inVox | 2007-03-06 00:10 | ■Music