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いよいよ明後日! ~ Dave Stewart and Barbara Gaskin 来日公演

とうとうこの日がやってこようとしています。前回の来日から8年。初来日からは18年目にして、3回目の来日公演です。そして、これが最後となるかもしれないという...。

そこで、明日からのライブの前に私が見た2度の来日公演を簡単に振り返っておきたいと思います。


※初来日:1991年9月8日 横浜 本牧アポロ・シアター

9月1日から始まった日本ツアーの最終日。「追加公演」という扱いだったと思うが、パンフレットには日程が載っていたので、元々計画はされていたのだろう。しかし、思いのほか観客は少なかったように思う。少し早めについて、入り口付近にいたスタッフにライブ終了後にアーティストは出てくるのかと訊いたところ、幸運にもライブ後に楽屋へ連れて行ってくれると言ってくれた。

ライブは、アンディ・レイノルズを入れた3人編成で、当時発売されたばかりの最新アルバム「スピン」の楽曲を軸に演奏されたと記憶している。セットリストは覚えていないし入手できてもいないのが残念。「I'm in a Different World」や「It's My Party」をやったと思う。誰かセットリストを知っていたら教えていただきたい。おそらく、他の公演日も基本的には同じセットリストだったと思うので、どの日でも構わないので知りたい。

ライブ後、スタッフが約束どおりに楽屋に連れて行ってくれたのだが、こちらは元々そんなことなど想定していなかったこともあり、とても緊張してしまって(加えて英語なんか当時は使ったことがなかったので)しどろもどろで大ファンだということを伝えたのが精一杯だった。そしてパンフレットにサインをもらったのだった。二人がとても優しかったのが今でも強く印象に残っている。特にバーバラの優しさは、まったくもって素晴らしかった。どうして、東京での2回のライブに行かなかったのかこのときほど後悔したことはない。当時はまだ「ポップ」であることに抵抗感があったのだ。もったいないことをしたものだ(当時は、まだ、Dave Stewartと言えば、ハットフィールズであり、ナショナル・ヘルスであり、ブルフォード、エッグ、ユリエル(アーザッケル)というイメージの方が圧倒的に強かったのだ。だからこそ、ヒットチャートの1位に輝いたというニュースを聞いてもぴんと来なかったし、下手するとポップに迎合した、なんていう見方もされていた時代だった。この時点ですでに3枚のコンピレーション、2枚のオリジナル・アルバムを発表してい
たにも関わらずだ)

そして、月日は流れ、10年の歳月が経った2001年のやはり9月、再び彼らはやってきた。

*2度目の来日:2001年9月14日、15日 東京 台場 Triobute to the Love Generation

このときの来日公演は、東京のみ2回公演。TLG単独での招聘だった。なので、観客は全国から集まってきた。しかし、この時の最新アルバムは未だに「スピン」だったのである。新作は未だに製作中とアナウンスされており、その合間にBBCのテレビ番組用に音楽を提供したり、フィル・ミラーなどの以前のバンド仲間のアルバムにゲストとして数曲参加したりしていた。そういった断片的なプレイを耳にしては、早くアルバムが出ないかと心待ちにしていたのだ。

ライブは二日間、ギタリストのアンディ・レイノルズとドラマーのギャヴィン・ハリソンを帯同し、生のドラムスが加わった非常にダイナミックなステージを見せてくれた。未発表曲をいくつも演奏し、ハットフィールドのレパートリーまで加わった、大変豪華なセットリストだった。そのセットリストの中から、今回の新作では4曲がスタジオ録音として収録されているのがとても嬉しい。一方で、ライブでのみ演奏された楽曲も1曲だけだがあるのだ。これもいつかスタジオテイクを聴いてみたいものだ。

1. Shakin' All Over
2. Big John Wayne ~ Emperor's New Guitar
3. I'm in a Different World
4. Cream Donut
5. Cloths of Heaven
6. Rat Circus
7. Any Guru
8. Let Me Sleep
9. Deep Underground
10. As Far As Dreams Can Go
11. Subterranean Homeshic Blues
~encore~
12. End of the Day (including "Waiting in the Wings")


1986年、私が大学生だったころに地元のFMラジオ局のとある番組で、Dave Stewart and Barbara Gaskinのシングルが時々かけられていた。その番組に投書をしたところ、一度番組に出て詳しく紹介してみないか、という話になった。そこで、ハットフィールズやブルフォードの曲を交えてシングル曲と、当時出たばかりのコンピレーション「Up from the Dark」からの曲を2週に渡って紹介させてもらったことがある。その時の番組のDJをしていた女性アナウンサーと、アンディ・レイノルズは仕事をしたことがあるとの事だった。世の中広いようでいて狭いものだと実感させられた。
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by invox | 2009-03-18 20:44 | ■Music
"Green and Blue"
(2009, Long awaited New ALbum, 18 years took for it!)


e0006365_0444057.jpg 1. Jupiter Rising (D. Stewart)
2. Walnut Tree Walk (D. Stewart)
3. Let Me Sleep Tonight (D. Stewart)
4. Good Morning Good Morning (Lennon / McCartney)
5. Green & Blue (D. Stewart)
6. Any Guru (D. Stewart)
7. Bed of Leaves (D. Stewart)
8. Rat Circus (D. Stewart)
9. The Sweetwater Sea Part 1 (D. Stewart)
  The Sweetwater Sea Part 2 (music D. Stewart, words Peter Blegvad)

Produced and Arranged by Dave Stewart

Barbara Gaskin (ヴォーカル)
Dave Stewart (キーボード)
Andy Reynolds (ギター),
Gavin Harrison (ドラム),
Peter Blegvad (ナレーション)
The Amorphous Choir (バック・ヴォーカル) *

*Wales北西部の Anglesey 島とBangor 町の

長いこと待たされた、18年ぶりの新作。今回の来日公演会場でも発売される。一般発売は3月27日からということで世界で最初に聞くことが出来るのは日本のファンになるということだ。

当然ながら、私もまだ聴いていないので、あまりお伝えする情報はないのだが、前回2001年の来日公演で演奏された楽曲が含まれているので、それらについては書いておこう。

まず、3曲目「今夜、私を眠らせて」はとても優しいスローなバラッド。子守唄のようなイメージだ。これをアルバム前半に持ってきたということは、その前は結構激しい曲なのだろうか。4曲目のビートルズのカバー曲は、2001年来日時のインタビューで触れられていたが、ビートルズのファンなら知っているだろう曲なので、彼らがどのようにアレンジしているのかが大変楽しみだ。6曲目はライブで演奏されたが、彼ら特有のメロディーラインがユニークな曲で、割とアップテンポなノリの良い曲。8曲目は、ハードなリフトフレーズが耳に残るアップテンポな楽曲で、ライブを盛り上げてくれた。アンディが活躍したと記憶している。最後の曲はパート1と2に分かれていることからも想像できるが、アルバム「ザ・ビッグ・アイディア」に収録された「ニュー・エルサレム」とも方向性を共通にした壮大な楽曲だそうだ。やはり「ニュー・エルサレム」で活躍したアモルファス・クワイヤが参加している点も見逃せない。この合唱団のリーダーの女性は、バーバラが日本にいた時に京都で知り合った方なのだそうだ。つくづく日本と縁が深い。

さて、もう一つの作品、5曲入りボーナスCDR。「グリーン&ブルー」に対するボーナス・トラック集、コンパニオンCDRなどという表現もされるこの作品だが、こちらについても少し触れておこう。

"Hour Moon"
(2001, Special Bonus CDR for Green and Blue album)

e0006365_0451141.jpg 1. Shakin' All Over (Johnny Kidd)
2. This Wind Blows Everywhere (D. Stewart)
3. Telstar (Joe Meek)
4. Your Lucky Star (from 'Spin') (D. Stewart)
5. Henry & James (Flexidisc mix) (D. Stewart)

1曲目は、やはり2001年の来日公演で演奏されたロックン・ロール曲のカバー。初日のライブ後のインタビューでデイヴは「今回のライブのアレンジの方が良かった」と言い、暗に録音やりなおしを仄めかしていた(バーバラとギャヴィンが「やり直し(Re do...)」とため息をついていた)ので、どうなっているのか楽しみだ。また4曲目の「ユア・ラッキー・スター」はアルバム「スピン」に収録されていたが、この曲がテーマとしているジョー・ミークという英国の敏腕プロデューサが作った曲が3曲目の「テルスター」ということになっているようだ。この曲はインストナンバーのようなので、これらが一体どういうつながりを持たせて録音されているのかが気になるところ。そして、最後の「ヘンリー&ジェームズ」はアメリカのキーボード誌に付録として付けられたソノシート(フレキシ・ディスク)のバージョン。いずれにせよ入手困難な曲ばかりなので、このミニ・アルバムは大変貴重なものとなるでしょう。
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by invox | 2009-03-18 00:45 | ■Music
"Spin"
(1991. Pop music for grown-ups!)


e0006365_23161041.jpg  1. Walking The Dog
  2. The Cloths Of Heaven
  3. 8 Miles High
  4. Amelia
  5. Trash Planet
  6. Golden Rain
  7. Your Lucky Star
  8. Cast Your Fate To The Wind / Louie Louie (medley)
  9. The 60's Never Die
 10. Star Blind

長いことこれが「最近作」だった。なんと18年近くも。その間、デイヴとバーバラがライブを行ったのは、1996年のロンドンと2001年の東京の2回、合計3回のショーだけだ。前作『ザ・ビッグ・アイディア』が発表されたのが1989年。前作は3年かけて制作されたとあったが、このアルバムには2年程度しかかかっていないことになる。この年、初めての来日公演が行われ、東京のみならず、名古屋、大阪、横浜と計5回のライブを行っている。その日本ツアーに同行したのが、今回も一緒に来るギタリストのアンディ・レイノルズだ。1991年の印象は、やんちゃなギター小僧というものだったが、今回送られてきた写真を見ると強面の親父風になっている。そのアンディを始めとしてこのアルバムには次のゲストが参加している。前作からはギャヴィン・ハリソンがそのままだが出番は減っているようだ。また、嬉しいのはジミー・ヘイスティングスの参加だろう。

Andy Reynolds - guitar (1-3, 5, 7-9), keyboard bass (4)
Gavin Harrison - drum kit (3), percussion (2, 6), rhythm programming (9)
Jimmy Hastings - flute (6, 10), bass clarinet (10)
Dexter James - shouting (5)
Victor Lewis-Smith - voices (1)
Roger Planer - deep bass voice (1, 5)
Sam Ball - kid's voice (5)

このアルバムでも、やはりカバー曲が収録されている。彼らにとってカバー曲はより自由な表現をする上でとてもやりやすいアプローチなのかもしれない。今回のカバー曲は以下のようになっている。

・Walking The Dog (Rufus Thomas)
・8 Miles High (The Byrds)
・Amelia (Joni Mitchell)
・Cast Your Fate To The Wind (Vince Guaraldi)
  ~  Louie Louie (Kingsmen)(medley)
・McGroggan (Trad.)

アルバムは軽快なヒップホップ風のリズムに乗った古いR&Bのヒット曲で幕を開ける。この曲、ナショナルヘルスがデイヴ脱退後のアラン・ゴウエン時代のライブでも取り上げていた曲だ。この年代のイギリスのミュージシャンにとってはお馴染みの曲なのだろうか。ドイツではシングルCDとしても発売されている。2曲目ではイエイツの詩に触発されたというたおやかな曲。緩やかに浮かび流れるようなバックにバーバラの歌声が重なるさまが心地よく、ずっと聴いていたい気になる。3曲目はザ・バーズのカバーで、実際にセスナ機かなにかで空を飛んでいるようなイメージが湧く滑らかなリズムが特徴的だ。彼らのマイ・スペースでのページにも2曲目と並んでプレイヤーにセットされている。ちなみに私のマイ・スペースでのページの音楽もこの曲だ。続く4曲目もカバーだが、女性として初の大西洋単独横断飛行を成し遂げた冒険飛行家であるAmelia Mary Earhartのことを歌ったジョニ・ミッチェルの歌だ。アメリアは、1937年、世界一周飛行の途中で南太平洋で行方不明になっている。5曲目は一転して激しい曲調のオリジナル。ポップで、ある意味パンキッシュで、ある面ではスラッシュ的だ。6曲目は格調高いコード展開を見せてくれる曲で、ある意味荘厳ですらある。7曲目では60年代に活躍した敏腕音楽プロデューサのジョー・ミークに捧げられたもので、彼が目をつけた女性シンガーは必ず成功したという。60年代を追想する雰囲気に溢れたバラッドだ。8曲目はメドレーでカバー曲2曲がつながっている。前半部分は元々インスト楽曲だったものにあとから歌詞が付けられたものだと言う。後半は日本でもお馴染みのヒット曲だ。そして、その60年代へのオマージュはそのものずばりのタイトル「60年代は死なず」というオリジナル曲で頂点に達する。とは言え、メロディ、アレンジや演奏は発表から18年も経つと言うのに、今、改めて聴きなおしても、まったく古臭さを感じさせないほど普遍的で洗練されている。最後は、やはりデイヴのオリジナル曲で締めくくられているのだが、静謐さを意図したイントロからバーバラの広がりを意図した歌につながり、ジミー・ヘイスティングスのフルートが心に響く。

このアルバムは日本のMIDIがオリジナルの契約を持っていたことから、日本先行発売だった上に、日本盤のみボーナス・トラックが2曲収録されていた。1曲目は1982年に二人がジャッコと共に録音してあったという多少実験的な曲。もう一曲は、イギリスのテレビ番組「ロスト・ビロンギングズ」のために録音されたものの使用されなかったもので、この曲にぴたっと来るシーンがなかったためだそうだ。このドラマは若いプロテスタントの少女がカトリックの少年キーボード奏者と恋に落ちるのだが、狭量さと頑迷さが二人を裂くというもの。ベルファストの迷宮監獄の中で一人の囚人が悲しい哀歌を歌う場面があり、その歌をバーバラが耳で聞き取りをしたのがこの曲の歌詞となっている。デイヴもバーバラもゲール語はまったく分からないためこの曲の歌詞カードは存在しない。原曲はもちろんゲール語のトラッドである。

デイヴ自身がホームページでの解説で書いているが、このアルバムは前作と比べると幾分軽めの作りになっている。が、それはあくまでも表面上のことで、聞き込めば聞き込むほどその音楽的な深さやイマジネーションの広がりが感じられる作品だ。残念ながら前作ほどには人気の出た楽曲が含まれていなかったようで前作の陰に隠れた形になっている。
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by invox | 2009-03-16 23:18 | ■Music
"The Big Idea"
(1989 - Dave & Barbara's Sgt. Pepper; took 3 years to record!)


e0006365_11143461.jpg 1. Levi Stubbs' Tears
2. My Scene
3. Grey Skies
4. Subterranean Homesick Blues
5. Heatwave
6. The Crying Game
7. Deep Underground
8. Shadowland
9. Mr Theremin
10. New Jerusalem

実質的には、このアルバムこそが、最初から「アルバム」の形を想定して構想された最初の作品だろう。全10曲中4曲がカバーであることは、彼らの制作姿勢がいまだ初期のシングルの頃から一貫していることを示すものだが、残る6曲のオリジナル楽曲の水準は、これ以前と比べてはるかに洗練されていることを示している。

まずカバー曲は以下の4曲である。ボブ・ディランやブルー・ナイルといったアーティストの作品がデイブ・ベリーやビリー・ブラッグと並んでいることに驚かされたものだ。

・Levi Stubbs' Tears (Billy Bragg)
・Subterranean Homesick Blues (Bob Dylan)
・Heatwave (Blue Nile)
・The Crying Game (Dave Berry)


さてアルバムトップを飾っているのがそのビリー・ブラッグの曲だがタイトルにあるリーヴァイ・スタッブスというのはフォー・トップスのリード・シンガーである男性の名前だ。二重にオマージュをささげている形だ。このアレンジがまた素晴らしい。曲の始めと終りにはそのリーヴァイ・スタッブス自身の声も入っているという。2曲目はアップテンポでにぎやかな曲。デイヴ・スチュワート自身の60年代ロンドンで見たというサイケデリック・ミュージックのライブの印象が元になっているという。デイヴが見たのはジミヘンやトラフィックだったそうだ。だからこそのこのタイトルなのだろう。そして3曲目。私個人の中では1,2を争うお気に入りの曲だ。イギリスの空模様に政治の状況を例えた歌詞だが、秘めた力強さというのか、そういうものを感じる。4曲目では再びカバー曲。古いディラン・ソングだ。元々がラップのような歌だが、ここでは完全に解体されエレクトロニックに再構築されている。ついつい口ずさんでしまうリズムとアレンジが楽しい。5曲目は一転して1984年のニュー・ウェーブ系のバンド、ブルーナイルの楽曲だが、これがまた素晴らしい。ミステリアスとはこういう曲のことをさすに違いない。淡々としていながらも切ない。これはバーバラの歌声によるところも大きい。ジャングルを舞台にした歌だが、熱帯雨林を思わせるアレンジは、オリジナルよりデイヴのカバーの方が上だと感じるとは言いすぎだろうか。次もまたカバーが続き、一気に20年時代をさかのぼり1964年発表の心引き裂く失恋の歌。ゆったりとした大きなうねりのある流れの中でバーバラの歌声が心に染みる。オリジナルに戻って7曲目はアップテンポの楽曲だが、テーマは暗く、無意識とアングラ文化についての歌になっている。だが非常にかっこよく、前回の来日公演の際にも演奏された。彼らにとってもお気に入りのようだ。続く8曲目もまたリズムのあるアップテンポな楽曲で、テーマが憂鬱と孤独というのにもかかわらず、ま、英語は良く分からないからいいや!とばかりにノリで聴いてしまうこともできる曲。9曲目は世界最初のシンセサイザーとも言われる電子楽器テルミンの発明者でもあるロシア人発明家のテルミン氏について歌ったもの。独特の不安定さが日本ではよく幽霊映画などに使われた楽器だが、最近では巻上公一氏の演奏が良く知られているだろうし、「大人の科学magazine」のvol.17で簡単な電子キット付きで特集されているので実際に自分で作って楽しむこともできる。 この曲自体はたおやかな表情を持ったミドルテンポのバラッドだ。アップテンポの続いた後ではほっとすると言っても良いかもしれない。もちろんテルミン(らしき)音も聞こえてくる。そして最後に大作がやってくる。イントロののどかな鶏の声から教会の鐘の音、人々の話し声、ラジオから聞こえる音から、一気に圧倒されるキーボードとリズムへとなだれ込む。そしてバーバラの歌が力をこめて歌い上げる。そこに加わるウェールズの合唱グループであるアモルファス・クワイヤ、総勢25名ほどのバッキング・コーラスが分厚い歌声となり荘厳さを演出する。セント・ジョージ教会のパイプ・オルガンが使用されていたり、ウイリアム・ブレイクが歌詞を付けたイギリスの賛美歌「エルサレム」が引用されたりと、アレンジも凝っていて、聴く側も力が入る素晴らしい楽曲だ。

アルバムのクレジットを見ると、デイヴとバーバラの二人に加え、ゲストがいるのだが、特に二人のミュージシャンが強力だ。この二人は互いの相性が抜群に良いと言っているほど素晴らしいコンビネーションを聞かせてくれるギタリストのジャッコとドラマーのギャヴィン・ハリソンだ。二人の参加した曲はそれぞれ次のようになっている。
Jakko Jakszyk - guitar choir (5), guitar (6, 7, 9, 10),
         additional backing vocals (1)
Gavin Harrison - drum kit (7, 9, 10), cymbals (3, 8)
やはり、7と10が出色の出来なのにはそれなりの理由があると言うものだ。

その他のゲストは以下の通り。
Andy Duncan - percussion (9)
Rick Biddulph - guitar, Stratocaster & 12-string samples (1)
Robin Boult - rhythm guitars (5)
The Amorphous Choir - additional backing vocals (10)
Kristoffer Blegvad - additional backing vocals (1)
Lyndon Connah - additional backing vocals (1)
Roger Planer - deep bass voice (4)
Sam Ball - kid's voice (4)

リック・ビダルフはジャッコと共にデイヴとはラピッド・アイ・ムーヴメントでベースを演奏していたり、もっと以前にはバーバラのいたスパイロジャイラにも参加していたり、ハットフィールド&ザ・ノースのロード・クルーをしていたこともある。クリストファー・ブレグヴァドはピーター・ブレグヴァドの弟で、ピーターやジャッコとはザ・ロッジで一緒に演奏していたのでどちらかの紹介かも知れない。リンドン・コナーはジャッコの最初のプロ活動であった64スプーンズのオリジナル・メンバー。アモルファス・クワイヤのリーダーである女性はバーバラが日本にいたときに知り合った人だそうだ。色々とつながっていくものだ。
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by invox | 2009-03-14 11:14 | ■Music
"As Far As Dreams Can Go"
(1988 - 2nd Japanese compilation)


e0006365_23264156.jpg 1. The Locomotion
2. Lenina Crowe
3. (I Know) I'm Losing You
4. Roads Girdle the Globe
5. (Do I Figure) In Your Life
6. When The Guards Are Asleep
7. Make Me Promises
8. Do We See The Light Of Day
9. As Far As Dreams Can Go

日本での2枚目のコンピレーション・アルバム。1986年までに発表されたもので前作「ザ・シングルス」に収めることのできなかった唯一のシングル盤『ザ・ロコモーション』のA面、B面に加えて、米国で1986年に発表されたコンピレーション・アルバム『アップ・フロム・ザ・ダーク』に収録されていた7曲をすべて収めている。特筆すべきは、これらの未発表曲のうち、2、3、6、8、9は1982年に、最初のアルバムとして企画された『ディスアピアー』のためにロンドンのトライデント・スタジオで録音されたものであることだろう。タイトルが悪かった(「消失」とか「消えうせる」の意)のか、『ディスアピアー』は結局当初の目論見どおりには発売されることがなかったが、そこに収録されるはずだった楽曲はすべてこうして日の目を見ているのである。

ちなみに『アップ・フロム・ザ・ダーク』はRykoレーベルがその後買収されてしまったために廃盤になってしまい、再発されないままなので、これらの楽曲を聴けるのはいまやこのアルバムだけになっているのだが、それもデイヴ・スチュワート・アンド・バーバラ・ガスキンのオンライン・ストアでのダウンロード販売のみ入手可能だ。

1曲目の「ザ・ロコモーション」はいわずと知れたリトル・エヴァの大ヒット曲だが、これを含めて全9曲中、4曲がカバー曲だ。

・The Locomotion (Little Eva)
・I Know (I'm Losing You) (The Temptations)
・Roads Girdle The Globe (XTC)
・(Do I Figure) In Your Life (Honeybus)

前作と違い、シングルになったのは一組だけなので、このアルバムの方がよりアルバムらしいと感じてしまうのは気のせいだろうか。最後の曲がとても切ないのがそういう感じを与えているのだろうか。1曲目の「ザ・ロコモーション」は、ものすごい数のアーティストがカバーしていることでも有名だが、このデュオのシングル発表直後にカイリー・ミノーグがカバーしてヒットしている。しかもアレンジが似ている(といってもなんの捻りもなくなってしまっているのだが)。2曲目はオリジナル。元気の良いコーラスが印象的だ。この曲の出だしの歌詞の一節がそのまま最初のコンピレーション・アルバムのタイトルになっている『Up From the Dark』というフレーズだ。3曲目は再びモータウン楽曲のカバー。こうしてみると60年代のモータウンというのはすごく素朴でいい曲が多かったんだなぁと思えてくる。イギリス的な解釈と大風呂敷を広げることはしないが、デイヴ・スチュワートのセンスによるカバーは、私のイメージするイギリスそのものだ。4曲目は、かなり異色な感じがするが、なんとXTCのカバー。当時の日本盤に付いていた解説では、XTCのアンディ・パートリッジとデイヴ・スチュワートはまったく面識がなかったのだそうだが、ピーター・ブレグヴァドのソロ・デビュー・アルバム「裸のシェークスピア(ネイキッド・シェイクスピア)」において、デイヴが1曲、アンディ・パートリッジが残り全てをプロデュースしているという<接近遭遇>はあったのだ。事実、ピーター・ブレグヴァドのそのアルバムからのシングルはA面がデイヴのプロデュースした「ハウ・ビューティフル・ユー・アー」でB面はアンディ・パートリッジがプロデュースした楽曲になっている。さて、わき道はそのくらいにして、この<道路が地球を取り巻いている>は、2曲目にも通じるような元気の良い飛び跳ねるリズムが特徴的な楽曲だ。いかにもXTCらしい曲なのだが、XTCの特徴であるアンディ・パートリッジのギターの代わりにキーボードによるバッキングが強烈に響いてくる。ボーカルがバーバラなので適度に力が入っているようで抜けているようで、絶妙なバランスを創り出している。5曲にはイギリスのあまり有名でないグループのカバー曲。とてもしみじみとしたバラッドだ。こういう曲が間に挟まっているのもこのデュオの得意技だろう。続く6曲目もオリジナル曲だ。派手なイントロから元気の良いメリハリの強いフレーズが飛び出してくる。バーバラのボーカルはアクセントの強いものになっている。7曲目はシングル「ザ・ロコモーション」のB面だった曲。とても静かなイントロから空間の広がりを感じさせるアレンジのミドルテンポのバラッド。心に染み入るとはこういう曲のことを言うのだろう。8曲目では、前半のゆったりとしたリズムでの歌を聞かせるパートから、徐々に再び明るい跳ねるリズムのポップな曲だ。そして最後の曲。これがゆったりとしていながらも、雄大な景色を目の前に広げて見せてくれる秀逸な曲だ。広大な平原と山々の織り成す夕暮れの景色というか、視界を埋め尽くす満天の星空と言うべきか、はたまた温かな日差しの下で丘の上から眺める大海原と言うべきか。とにかく言葉には出来ない良い曲だと思う。

MIDIが企画した2枚のコンピレーションは、当時彼らが録音していた全ての楽曲を網羅している点で高く評価されるものだし、楽曲の配分もそれぞれに拘りをもって行われた点でもアーティストの意向に沿ったものだったと言える。この2枚は切り離して独立に聴くことはもちろん、2枚併せて一つの作品を形成しているとも言えるだろう。幻のデビュー・アルバム『ディスアピアー』を、この2枚から再構築してみる(意図されていた曲順は不明だが)のもファンにとっては楽しみの一つだ。

彼らは、この2枚のコンピレーション・アルバムを持って、デイヴ・スチュワート・アンド・バーバラ・ガスキンとして一つの活動の区切りをつけたように思える。そして、MIDIレーベルとの次のアルバムが、改めて、再出発(再デビュー)としての位置づけにあるように感じるのは私だけだろうか。
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by invox | 2009-03-11 23:27 | ■Music
"Broken Records - The Singles" (CD/LP, 1987)
- Japanese compilation of 6 singles, with their 'B' sides)

e0006365_18573769.jpg  1. I'm In a Different World
  2. Leipzig
  3. It's My Party
  4. Johnny Rocco
  5. Siamese Cat Song
  6. Busy Doing Nothing
  7. Rich For A Day
  8. Waiting in the Wings
  9. The Emperor's New Guitar
 10. The Hamburger Song
 11. Henry And James
 12. The World Spins So Slow

このデュオの初期作品群はすべて7インチEP盤、つまりシングル・レコードとしてリリースされている。1981年、このデュオの活動が始まる直前の、デイヴ・スチュワートのソロ名義での(メイン・ボーカルにゾンビーズのコリン・ブランストーンを迎えた)シングル『What Becomes of the Broken Hearted』が英国チャートでなかなかのヒットとなったが、そのシングルはこのデュオの作品ではないため彼らのアルバムには一切含まれていない。わずかにスティッフ・レコーズのレーベル・コンピレーション・ボックスセットにB面の『There's No Reward』と共に収録されているのみである。(その後企画もののCDシングルにA面曲のみ収録され再発されている)

さて、このアルバムは、日本のMIDIレコードが大胆にも直接企画して発売が実現したコンピレーション・アルバムだ。このデュオの初期作品、6枚のシングル盤を、A面曲をA面に、B面曲はB面に、というように忠実に割り振ってあるのだが、曲順に関しては必ずしも発表順ではない。また、A面とB面とで同じ順番でもない。これはアルバムという性格上やむをえないことだが、時間軸よりも音楽としての流れを重視した結果だろう。実際の発表順に並べてみると以下のようになる。

1981 It's My Party/Waiting in the Wings
1982 Johnny Rocco/The Hamburger Song
1983 Siamese Cat Song/The Emperor's New Guitar
1983 Busy Doing Nothing/The World Spins So Slow
1983 Leipzig/Henry And James
1984 I'm In a Different World/Rich For A Day

また、A面曲は全て別アーティストのカバー曲であり、B面は全て彼らのオリジナル楽曲であるという点もシングルと共通になっていて、その辺にシングル盤の製作意図に忠実に作ろうとしたこだわりが感じられる。カバー曲のオリジナル・アーティストは、それぞれ以下のようになっている。

・It's My Party (Lesley Gore)
・Johnny Rocco (Marty Wilde)
・Siamese Cat Song (Peggy Lee)
・Busy Doing Nothing (Bing Crosby Movie)
・Leipzig (Thomas Dolby)
・I'm In A Different World (The Four Tops)


日本でもよくオンエアされた「アイム・イン・ア・ディファレント・ワールド」が1曲目に来ている。この曲に関しては、イギリスよりも日本での方が人気が高かったようだ。また、2曲目のトーマス・ドルビーの曲も面白い。トーマス・ドルビー自体がかなりユニークな音楽である上に、それをデイヴ・スチュワートの感性でアレンジしてあるのがたまらない。3曲には、ファンなら誰もが知っているように、このデュオの最初のシングルである『イッツ・マイ・パーティー』を持ってきている。シングル盤では「デイヴ・スチュワート・ウィズ・バーバラ・ガスキン」とクレジットされていたが、実質このシングルがデビュー曲だ。このシングルが4週間にわたって英国チャートの1位を独走し、その年の年間1位も獲得したのだ。そのためこの曲にはプロモーション・デオも存在しているし、テレビ出演したときの映像もあるようだ。日本のバブル期にも通じるような1982年当時のファッションがたっぷりと楽しめるのだが、このプロモーションビデオの中には当時のテレビ出演でもサポートしていたピップ・パイルとジャッコ、それとアマンダ・パーソンズが登場している。それに遊び仲間でもあったというトーマス・ドルビーの姿も確認できる。4曲目はロックン・ロール。曲中に聞えるギャングのボスの台詞'Johnny - stand up and fight, boy!'は偶然スタジオに居合わせたロバート・プラントだとの事。すごい組合せが隠れていたものだ。5曲目はディズニー映画の挿入曲。オリエンタルなメロディだがアレンジはさすがにデイヴならではだ。6曲目にも映画音楽から。ビング・クロスビー出演の『アーサー王宮廷のヤンキー』の挿入歌。これもまたユーモラスな曲だ。

B面パートに移るとデイヴ&バーバラのオリジナルが並んでいる。まずは軽快な「リッチ・フォー・ア・デイ」。踊りだしたくなるような展開で1984年の6枚目のシングルのB面ということもあり、かなり洗練されたアレンジが楽しめる。続いて「ウェイティング・イン・ザ・ウイングス」は雰囲気のあるイントロのバーバラの歌からシモンズ・ドラム・キットの音色が特徴的な展開が交互に出てくる。当時の最先端でもあったシモンズだが、今聞くと古めかしさは否めない音色だ。そして「エンペラーズ・ニュー・ギター」静かな出だしから徐々に忍び込んでくるようなメロディ。踊りだしたくなるリズム。隠れた名曲。次の「ザ・ハンバーガー・ソング」でも弾むようなリズムが心地よく、軽めの音色のキーボードをバックにバーバラが軽快にとばしていく。そして人気の高い「ヘンリー・アンド・ジェームス」。ユニークなフレーズのイントロから、これまたユニークなベース・ラインをバックにバーバラの歌が気持ちよく流れる。そして最後は「ザ・ワールド・スピンズ・ソー・スロー」。ゆったりとした静かなバラッドだ。まるで子守唄のようにやさしく、それでいて心弾むようなリズムを持ち、アルバムの最後はこれしかないだろうと言いたくなる様ないい曲だ。

この日本盤は、デイブ・スチュワート・アンド・バーバラ・ガスキンという長い名前を<スチュワート/ガスキン>という表記にして日本での名前の覚えやすさを狙い、タイトルも単に「ザ・シングルス」となっていた。まぁそれ以前の活動を知らないファンにはそれでよかったのだろうが、古くからのファンは少々違和感を感じたようだ。なんにしろ、当時シングルもすべてを手に入れるのはなかなか難しかったので、このアルバムが大変嬉しいリリースであったことは間違いない。
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by invox | 2009-03-08 18:56 | ■Music
Dave Stewart & Barbara GaskinのMy Spaceでのブログに新しい記事が投稿されました。

"New CD and live dates in March" 2009年03月01日 - 日曜日

e0006365_2318022.jpgWe are pleased (and somewhat relieved) to announce the release of Dave & Barbara's long-awaited new album 'Green and Blue' (nine tracks, 67 minutes). In a departure from style, Green and Blue contains only one cover version. This is the most varied Stewart/Gaskin album to date, combining heart-rending ballads, poppy toe-tappers, lengthy musical explorations and a heavy metal thrash, but the diverse material is united by the duo's trademark musicality. Green and Blue features long-time collaborators Andy Reynolds (guitar), Gavin Harrison (drums), Peter Blegvad (narration) and the amazing Amorphous Choir of Wales. The CD ships in a 4-page Digipak with a 12-page colour booklet containing the song lyrics and a short sleeve note by Dave.

e0006365_2318331.jpgAccompanying Green and Blue is the CDR 'Hour Moon', featuring five bonus tracks, two of which were originally intended for the album. Also included are a cover of a classic '60s instrumental and a version of 'Henry & James' which appeared on a Flexidisc in a 1980's issue of Keyboard magazine (USA). Thanks to all the people who wrote to us about this track! Hour Moon ships in an eco-friendly cardboard wallet with its own artwork and explanatory notes.

The two CDs will be released on March 27th 2009 and can be pre-ordered now from Stewart / Gaskin online store. A limited number will be signed by Dave & Barbara at no extra cost, so if you would like a signed copy of either please order now while stocks last.

Dave and Barbara would like to say a heartfelt thank you to all the people who sent supportive and encouraging messages about the album.

To celebrate the release of Green and Blue, Dave & Barbara are playing three concerts at Tsuki-miru Kimi-omou (lit. 'I look at the moon and think of you') club, Aoyama, Tokyo, Japan on March 20th, 21st and 22nd. They will be joined on these gigs by guitarist Andy Reynolds. (See www.moonromantic.com.)

わぉ、ついにニューアルバムについての公式なアナウンスが出されました!しかも、今回はボーナスCDRが同時に発表です。「グリーン・アンド・ブルー」は9曲入りで67分。見開きのデジパック仕様で12ページのブックレット付き。ボーナスCDRの「アワー・ムーン」は5曲入り。元々「グリーン・アンド・ブルー」用に録音されたがCDの収録時間の制約で惜しくも外された曲が2曲。60年代のインスト曲のカバーに、「ヘンリー&ジェームズ」の昔アメリカのキーボード誌のおまけに付けられたソノシートで発表されたバージョンなど。未発表曲も含まれている。

アルバムは3月27日発売予定で、彼らのオンラインストアでは同じ価格でサイン入りも枚数限定だが用意してあるという。日本では一足お先に、19日から行われるライブの会場で購入できるだろう。とても楽しみだ。
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by invox | 2009-03-01 23:20 | ■Music