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"The TLG Collection" Dave Stewart & Barbara Gaskin (2009)

  1. Transylvanian Blue Suede Hooves (B. Dylan)
   (Subterranean Homesick Blues extended mix)
  2. Rene and Georgette Magritte With Their Dog After The War (P. Simon)
  3. Shakin' All Over (2001 Rough mix) (J. Kidd)
  4. Give Me Just A Little More Time (R. Dunbar / E. Wain)
  5. McGroggan (1995 Remix) (D. Stewart)
  6. When The Warcry Comes (D. Stewart)
  7. Fear Is The Thief (D. Stewart)
  8. Hold On To The Chain (D. Stewart)
  9. Roads Girdle The Globe (1991 Remix) (A. Partridge)
 10. Henry & James (1996 Remake) (D. Stewart)
 11. The Curve Of The Earth (D. Stewart)
 12. Painter Man (E. Phillips / K. Pickett)
 13. Your Majesty Is Like A Cream Donut (quiet) (D. Stewart)
 14. Ads Infinitum (D. Stewart)

(Total running time 66 minutes 35 seconds.)

e0006365_1722534.jpgついに、正式なCDとして公式リリースされることになったのだなぁ、と、このオリジナルである「TLG Commemorative CD」(2001)を持っている者としては、感慨ひとしおである。

思い起こせば2001年のアメリカ同時多発テロ直後の日本公演で記念盤として、公演に来た人に対して、しかも限定150枚という少数のみ販売された作品だ。それが、こうして世界中のファンが簡単に入手できるようになったことは非常に喜ばしいことだ。この作品が世に出てから8年の歳月が経ったとは言え、その内容は決して色褪せておらず、むしろ、新作「Green and Blue」が出たことで、アルバム「SPIN」とのミッシング・リンクとしての存在感をいや増しているようにも思える。そうなのだ、いくつかの楽曲は、その時期に録音され、また、2001年以降に手が加えられなかったことで、アレンジの方向性などが、ちょうど、中間の移行期のものとなり、これら2作品の両方の特徴を併せ持ちつつも、そのどちらでもないという貴重な仕上がりを見せているのだ。これは、ある意味とても貴重な作品なのだと言っていいだろう。

日本では、ディスク・ユニオンが輸入盤に解説とライナーノーツの対訳、帯を付けてアルカンジェロから販売しているが、なんとこれには先着何名様高の限定ではあるが、今年新たに録音された「Summer in the City」(THE LOVIN' SPOONFULのカバー)1曲入りのボーナスCDRが特典として付されるというから驚きだ。これは、実際、彼らのウェブ通販(Burning Shedが代行)やダウンロード販売では手に入れることができない、日本のファンだけに向けての彼らからのプレゼントである。

さて本体の方に話を戻そう。本体の楽曲は、「TLG Commemorative CD」とまったく同一で、収録の順番も同じである。これは彼らがオリジナルを尊重したかったからだそうだ。しかし、パッケージングはまったくの新規に制作されており、見開きのデジパック仕様で、12ページの貴重なカラー写真を各ページに使用したブックレットが付いている。ブックレットには、オリジナル時の解説をベースに新たにデイヴが書き下ろした解説がびっしりと記載されている。この文章はすべて日本盤では対訳が別冊として付いているので、非常に読み応えがある。また、日本盤独自の解説も、当時のTLGのオーナーであり、現Office Ohsawaの大沢氏による制作秘話めいたもので、大変面白い。もちろん、曲解説もあり、これをデイヴの解説と併せ読むことで、より広範な情報が得られるようにできている。ボーナスCDRのこともあるので、日本に住んでいるこの幸運を存分に活用して、ぜひとも日本盤を入手して欲しいと思う。では、収録されている楽曲についてのコメントをしてみたい。解説については、デイヴ自身によるものが付されているので、それを見ていただきたい。ここでは個人的な感想を。

1. Transylvanian Blue Suede Hooves (B. Dylan)
   (Subterranean Homesick Blues extended mix)

「The Big Idea」収録曲のロング・バージョン。YouTubeではボブ・ディランのオリジナルのものを手軽に見ることもできるので比べてみて欲しい。クールなダンス・ミュージック。捻りまくったアレンジだ。途中で挿入される祭囃子のようなパーカッションも楽しい。

2. Rene and Georgette Magritte With Their Dog After The War (P.Simon)

ルネ・マグリットという人は、非常に几帳面で、シュールな作品を作成するのも自宅のキッチンだかどこだかで、びしっとスーツか何かを着て制作を行っていたそうだ。ジョージェットはその奥様。ポール・サイモンの元曲は1983年発表のとてもやさしいバラッドで、ストリングスやギターの控えめだが美しいアレンジが特徴だ。バーバラの歌声は、ポール・サイモンとは異なるやさしさがあり、まったくの別物だ。デイヴとバーバラが見たポール・サイモンのプロモーション・ビデオは残念ながら見たことがない。

3. Shakin' All Over (2001 Rough mix) (J. Kidd)

今年発売されたミニ・アルバム「Hour Moon」にも収録されたものの2001年ラフ・ミックスということになるが、基本的なドラムスなどのトラックは同じものではないだろうか。イントロがまったく異なっているが、こちらを先に聴いたおかげ、私はこちらの方が好きかも。ジョニー・キッドのオリジナルは、ロックンロールの典型的な音色のギターとオルガンとリズム隊という割とすかすかな印象だが、驚いたのはテンポがゆったりとしていること。ミドル・テンポではあるのだが、ブルース的なノリが強いのかも。

4. Give Me Just A Little More Time (R. Dunbar / E. Wain)

これもまたカバー曲だ。The Chairmen of the Boardという黒人3人組のオリジナルはソウル的な搾り出すようなボーカルが特徴的。ピアノとブラスにストリングスをバックに陽気なコーラスが付く。バーバラが歌うことで、やはりまったくの別物となり、とてもかわいらしいラブ・ソングになっている。

5. McGroggan (1995 Remix) (D. Stewart)

5曲目からデイヴのオリジナルが続く。まずはテレビ・ドラマのための曲。元はトラッドだが、それをベースに自分たちのバージョンとして書かれている。結局ドラマでは未使用だったとあるが、バーバラが聴き取りから音だけを移したゲール語による歌詞は、歌詞カードがなくとも厳かな雰囲気を十分に伝えている。大変雰囲気のあるいい曲だ。

6. When The Warcry Comes (D. Stewart)

同じドラマのための曲がもう一曲続く。「鬨の声上がるとき」とでもいう意味のタイトルだろうか。これもまた壮大なアイルランドの光景が目に浮かぶような曲だ。

7. Fear Is The Thief (D. Stewart)

実験的な曲という紹介がされているが、彼らにしては珍しく、少しダウナー気味のコードではあるが、メロディやリズムはアヴァンギャルドというほどではないだろう。「恐れはあなたの夢の盗人」とでもいう意味だろうか。途中のピアノ・ソロなど、実験的、と言っている意味が分かるかも。

8. Hold On To The Chain (D. Stewart)

このアルバムの中で、私が最も好きな曲。ぜひライブで聴いてみたい曲だ。ラフなデモだとはあるが、これはこれでとても素晴らしい。しかし、じっくりとアレンジを施してみたものも聴いてみたい。たぶん、デイヴのキーボードによるギター・ソロが縦横無尽に駆け巡るものになるはずだから。

9. Roads Girdle The Globe (1991 Remix) (A. Partridge)

もちろん、XTCのカバー曲だが、Andy Partridgeはエレクトロニクス(特にキーボードによるそれ)が嫌いになっていったようで、イギリスのエレクトロポップのアイドル・グループであるダラー(Dollar)にちょっと似ているなどとコメントしているが、ダラーを聴いたことのある人なら、それがまったくの見当はずれの指摘であることが分かるだろう。ダラーとは、それこそ、大人と子供ほどの差がある。

10. Henry & James (1996 Remake) (D. Stewart)

こちらはコルグのキーボードのための再録音。ここで付加されたアップテンポの眺めのイントロはとても格好いい。ライブでは「The World of Difference」と一緒くたになって演奏されるが、単独でも素晴らしい。このバージョンはもちろんここだけでしか聞けない。

11. The Curve Of The Earth (D. Stewart)

ファンファーレのようなイントロ。雄大なフレーズがクラシカルにすら響くこのインストナンバーは、ライブで演奏されるために「Eight Miles High」の序曲として作曲されたとあるが、これだけでも十分だ。あぁ、1983年に実際にライブで演奏されているというから、見たかったなぁ。

12. Painter Man (E. Phillips / K. Pickett)

豪快なドラムスが特徴的。これもまた古きよき60年代のカバーだ。YouTubeでは、オリジナルであるCreationのテレビ出演時の演奏を何種類か見ることができるが(いずれも口パクのようだ)ギター、ベース、ドラムスというシンプルな楽器編成で、その雰囲気を上手く残しながらもデイヴのバージョンはモダーンな仕上がりとなっている。

13. Your Majesty Is Like A Cream Donut (quiet) (D. Stewart)

ハットフィールズの名曲だが、ここでは完全にソロでの多重録音となっている。2001年のライブでは、ファンへのサービス曲として演奏されたが、やはり素晴らしかった。実際のライブではギャヴィンのドラムスとアンディのギターが入った上で、なおかつこのアルバムには収録されていないハットフィールズのアルバムでの順番どおりに次の曲の頭を使用して次の曲につないだので、なおさらスリリングで格好良かったのだ。

14. Ads Infinitum (D. Stewart)

これもテレビ番組用の楽曲。サビの歌詞のリズムと音楽のリズムがずれていて、アクセントがどんどんずれ込んでいくという凝ったアレンジが面白い。アルバムの終りを締めくくるエンドロールのバックにでも流れそうな短い曲。

ここで、日本のみのボーナスCDR「サマー・イン・ザ・シティ」についても紹介しておこう。

Summer in the City (Mark Sebastian)

これについては、CDRに付けられた白黒のカードにある短いデイヴによる紹介文があるが、ラヴィン・スプーンフルのカバー曲だが、オリジナルはツイン・キーボードにギターとドラムスという編成のようだ。これもYouTubeでテレビでのライブ演奏を見ることができる。デイヴのアレンジは、オリジナルよりも滑らかで、洗練されている。これが単なるデモでしかないというのは信じられないほどの出来だ。


ということで、この文章を書くために、久しぶりにオリジナル曲をインターネット上で探してみたりして、大変楽しい時間をすごさせてもらった。オリジナルも、カバーも、それぞれにいろんな楽しみ方があり、何度でも聴いてしまう。ボーナスCDRの録音は今年だというから、すでに着手しているという次のアルバムがとても楽しみだ。この曲で聴けるバーバラの声も大変力強く、まだまだいけるぞ!とひそかにガッツポーズをしているのは私だけではあるまい。早くも、次のアルバム、次の来日公演、次の...と欲深な私は次々と期待をしてしまうのである。
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by invox | 2009-11-29 17:25 | ■Music
「時の娘 ロマンティック時間SF傑作選」 (創元SF文庫)
 R・F・ヤング他 (著), ジャック・フィニイ (著), ほか。中村 融 (編)

e0006365_23541740.jpg収録作品(収録順)
・「チャリティのことづて」 ウィリアム・M・リー
・「むかしをいまに」 デーモン・ナイト
・「台詞指導」 ジャック・フィニイ
・「かえりみれば」 ウィルマー・H・シラス
・「時のいたみ」 バート・K・ファイラー
・「時が新しかったころ」 ロバート・F・ヤング
・「時の娘」 チャールズ・L・ハーネス
・「出会いのとき巡りきて」 C・L・ムーア
・「インキーに詫びる」 ロバート・M・グリーン・ジュニア

以前、ジョセフィン・テイの「時の娘」というミステリを読んだことを紹介したが、こちらは、それとは全く関係がない、SF短編のアンソロジーだ。前者が「真実は時の娘」(英語:Truth is the daughter of time.あるいはTruth, the daughter of Time. ラテン語:VERITAS TEMPORIS FILIAあるいは、VERITAS FILIA TEMPORIS)という言葉からタイトルを拝借し、「真実」と「歴史による変容」を扱った作品であったのに対し、こちらのアンソロジーは、SFらしく、「時間」そのものをテーマとしたタイム・トラベルものばかりを集め、その中の一篇のタイトルをそのままアンソロジーのタイトルにも持ってきたものだ。

この中に、ジャック・フィニィの未読作品が含まれていたので購入したのだが、いやいや、他の作品もなんとも良いではないか。各作品の扉にある作者紹介が少々余分だが(作品の内容そのものの解説は興ざめになるので止めて欲しい)、それぞれに趣が異なっていても、翻訳者が違っていても、十二分に楽しめた。時間を好んで取り扱ったフィニィの作品「台詞指導」など、映像にしても面白いだろう。いかにもSF的な、タイムマシンや火星人が登場するものから、コラージュのように時が入り乱れるもの、どちらかと言えば古風な趣のあるものまで、たいへんバラエティに富んでいる。「時が新しかったころ」という作品は、比較的新し目の作品だろうか、この感じは大好きだ。

解説によれば、海外では、この手の小説は、SFファンにはあまり受けないようだが、一般読者には大変受けがいいようだ。タイムトラベル・ラブストーリーは映画化され、好評を博すものもあるようだ。「きみがぼくを見つけた日」が最近の代表例だろう。もっとも、恋愛物語の側面が極端にクローズアップされるのは仕方がない。そういう面でも、小説の方が私には好ましい。
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by invox | 2009-11-16 23:54 | ■Books
Nic Potterのソロ・アルバムがヴォイスプリント社からリマスター盤として続々と発売されている。発売されるアルバムは、最も最近のアルバムであるイタリアでのライヴ・アルバム「Live in Italy」 (2008)を除き、以下の10作品である。

  1. Mountain Music (1984)
  2. Sketches in Sound (1986)
  3. Mountain Music and Sketches in Sound (Compilation, 1995)
  4. Self Contained (1987)
  5. Dreamworld (1997)
  6. The Blue Zone (1989)
  7. The Blue Zone Party Live at The Dome (Live Tape, 1991)
  8. Dreams in View 81-87 (Compilation, 1988)
  9. Long Hello Volume Two
 10. New Europe/Rainbow Colours (1992)


また、ニック・ポッター本人のホームページでは限定100個という形ではあるが、これら10枚をすべて1セットにしたボックス・セット「All Contained」も発売するという。こちらについては、ニックがサインを入れるそうだ。もちろん、ボックスと言うからには、箱もきちんとした物を製作したようで、ニック自身のイラストを用いたアートワークが楽しみだ。

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すでに、ニックとコンタクトのあるファンからは、予約が入っている模様で、おそらくすぐに売り切れるだろうとニックは語っている。

今回の目玉は、何と言っても、1991年にカセットテープのみでリリースされたライブ・アルバム「ザ・ブルー・ゾーン・パーティ・アット・ザ・ドーム」だろう。これは、非常に入手困難で、わずかに以前出ていたCD版の「Long Hello Volume 2」のボーナス・トラックとして、その一部が聴けるだけに過ぎなかったので、大変ありがたい。また、従前は2in1としてしかCDになっていなかった「Sketches in Sound」と「Mountain Music」は、今回が初めての単独CDとなる。

各アルバムのジャケットは、オリジナルを尊重しながらも、今回新たにニックがリメイクしたのだそうだ。本人曰く、拡張したものになっているとか。ボックス・セットには、さらに、ニックの描いた絵のプリントされたものも同梱されているようなので、彼の絵が好きな人はボックスを購入するとよい。このアートワークのリプロダクションもあってか、ニックは今回のリマスター作品のリリースを総称して「Zom-Art Series」と呼んでいる。
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by invox | 2009-11-08 23:16 | ■Music