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「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」 国立西洋美術館

現在は既に上野での会期は終了し、名古屋市美術館にて、6月25日(土)~9月4日(日)の日程が予定されている。

レンブラントの印象は、光と影を巧みに表現した絵画、というものだった。実際にはかなり暗めの画面の中で人物なり何なりがある方向からの光を受けて印象的に浮かび上がる、という感じだろうか。その印象を持ったまま、その印象にそう作品を多数期待していたのだが、展示会ではむしろ、単色の版画がメインと言っていいものだった。そこは少し肩透かしを食った気分だ。だが、版画で、しかも金属版画でもこれだけの陰影表現が出来るのだ、というのは確かに驚きだった。

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油彩の印象がこれだけ強い画家が実は油彩よりも版画にこだわっていたというのは一体どういうことだったのか、というところにこだわってこの展示会を見るのも一興だが、個人的にはやはり油彩をもっと沢山見たかった、というのが本音だった。今回は私の知っている作品は一点もなかったのでかなり新鮮な感覚で見ることが出来たが、作品を見る上でひとつ気になったのは、版画はその特質上、ディテールをぼかすことが苦手だということに起因するのであろう「漫画化」。現代の我々は、これまでの長い美術の歴史の積み重ねの上にスタート地点を置く漫画を数多く目にしている。あるいは、作品の中で多くの美術作品が引用されたり、パロディとして登場していたりもする。そのことが、古い作品を見たときに、どうしても「漫画で先に見たことがある」印象を持ってしまう作品があるということに繋がってしまう。版画では特に「線」による描写がほとんどだ。それはつまり、漫画と同じ技法を用いていることが多い、ということなのかもしれない。だが、それでもレンブラント。見た後の印象は素晴らしいものだった。見ておいて損はない。
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by invox | 2011-06-20 12:44 | ■Arts
2009年に亡くなった元Random Hold(ランダム・ホールド)の創始者の一人デヴィッド・ファーガスン(David Ferguson)が、息子のサムと共にランダム・ホールドの新作を制作しようとしていたということを知ったのは、彼が亡くなった年の後半に、とあるBBSで2008年7月のサムの発言を見かけたからだった。

そこにはデヴィッド・ローズ(David Rhodes)や2ndアルバム時のベース奏者だったマーティン・スウェイン(Martin Swain)などがレコーディングに参加しており、2009年末ごろには出せるのではないかと書いてあった。実際には、その発言の約1年後にデヴィッド・ファーガスン氏が亡くなってしまったため、その構想は現実とはならなかったのだが。

ずっとこの話が気になっていて、昨年、ランダム・ホールドのデビュー・アルバムをプロデュースし、デヴィッド・ファーガスンのソロ・アルバムには娘のホリーが参加したり、自身もデヴィッド・ローズの新作ソロ・アルバム「ビタースウィート(Bittersweet)」にも参加したピーター・ハミル氏にこの話を聞いてみたのだが、ハミル氏曰く、「DFが亡くなった時、レコーディングはさほど進んでいなかったはずだ。おそらくサム一人ではプロジェクトを進めるのは難しいだろう。」とのことであった。

最近、デヴィッド・ローズと直接やり取りをする機会があったので、無謀にも、直接この件について訊いてみたのだが、「私の感じているところでは、この仕事は、ほとんどがデヴィッド・ファーガスンと息子のサムのもので、自分はDFがなくなる前にしばらく一緒に作業した」というものだ。ということだった。これはいくらかのレコーディングを行ったという意味に解釈してもいいだろう。

しかし、実際には、同時期にデヴィッド・ローズは自身のソロ・アルバム「ビタースウィート」の準備を進めていたはずなので、あまり積極的に関与していたというのは考えにくい。やはり、この最後のランダム・ホールド作品は亡くなったデヴィッド・ファーガスンが、墓の中へと持っていってしまった、ということになるのだろうか。

息子のサムはまだ若く、大学生で、音楽もやるが、彼自身の興味の中心は演劇であり、自身、劇団で俳優をやっているようだ。先の発言に拠れば、ランダム・ホールドの新作では父親のデヴィッドと共にサムが共作した楽曲も含まれる予定だったという。彼がそれらを仕上げる気になるかどうかは分からないし、彼が独力で作品として仕上げるには膨大な時間とお金が必要だろう。父親の持っていた音楽業界における人脈を受け継いでいる訳ではないだろうから助けてくれる人はほとんどいないだろう。やはり幻の一枚ということになってしまうのだろうか。
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by invox | 2011-06-11 15:42 | ■Music
"A Scarcity of Miracles" Jakszyk, Fripp and Collins; A King Crimson Projekct

e0006365_18555768.jpg 1. A Scarcity Of Miracles (7.27)
 2. The Price We Pay (4.49)
 3. Secrets (7.48)
 4. This House (8.37)
 5. The Other Man (5.59)
 6. The Light Of Day (9.02)



5月末にリリースされたばかりだが、3月にでたVdGGの新作「A Grounding in Numbers」以外で、最もよく聴くようになったのがこれ。

21st Century Schizoid Bandで見事にRobert Frippの役割とボーカリストの役割とを両立したことで評価の高いJakko M. Jakszykが、その本家本元であるRobert Fripp とセッションを行ったものをベースに、後からJakkoが色々と手を加えて楽曲の体裁にしたもののようだ。

そこにぜひにと参加をしたのがMel Collinsだとか。そして(おそらくはJakkoから声が掛かったのであろう)Gavin HarrisonとTony Levinという現King Crimsonの強力なリズム・セクション。まぁ、期待するなと言うのが難しいでしょう。

ただし、一つだけ、クリムゾンの熱狂的なファンでカンタベリーを知らない人には「肩透かし」を食うリスクもきちんと取っておいてもらった方がよいかもしれない。(どんな時期のものであっても)クリムゾンの音楽とまったく同じ音楽ではないということだ。むしろJakkoの一番新しいソロ・アルバムである「Bruised Romantic Glee Club」に近しいものを感じる。そもそもJakkoのファンである私にはとても嬉しいのだが、そうでない人にとってはもしかすると「なんだこれは?」となるかもしれないのだ。

しかし、そこには、Fripp曰く「クリムゾンの遺伝子」が見事に入り込んでいるのもまた間違いない事実であり、Jakko自身が語ったことがあるように、最も強い影響を受けたのは、カンタベリー、VdGGそしてクリムゾンだったのだから当然と言えるだろう。(しかも奥さんはマイケル・ジャイルズの娘さんだ。)Jakkoを古くから知る人は「カンタベリー」の流れの中でしか捉えていないかもしれない。あるいは、デヴィッド・ジャクソンの「The Long Hello vol.3」での2曲を知る人は彼がかなりのVdGGファンであることも知っているだろう。(ただしLevel42でのJakkoしか知らない人には意外かもしれない。あぁ、あれは「アラン・ホールズワースの後任」だったのだ。)

JakkoとFrippのギター・セッションが一体どういう経緯で録音されたのかはよく分からないが、オリジナルの録音を聞くことはないのであまり気にしても仕方がないが、聞こえてくる音から判断すると割りとサウンドスケープとギター、みたいなものが多かったのではないかと推測できそうだ。しかし、最終的な形態は見事に展開のある歌モノになっている。ある種淡々とした展開はクリムゾンではあまり聴けないものだと思うが、それはそこはかとなくフリップ&イーノなんかも間接的に連想させる部分もあるかもしれない。

個人的には、少し歌の部分が多過ぎると感じた部分もあるが、元がインストのセッションなので結果としてそうなってしまったのかな、と思っている。バランスをとろうとしすぎた結果だろうか。もっとも私は彼の声が好きなのであまり気にならないのだが。少し残念に思うことがあるとしたら、リズム・セクションが控えめなところだろうか。アルバムの名義は3人になっていて、リズム隊の二人はあくまでもサポートの扱いになっている。演奏が地味だという訳ではないが、控えめだ。もっと暴れてくれた方が嬉しかったが、そういう楽曲でもないか。

なお、特別仕様も同時に発売されているようで、そちらはHQCD/DVD-Audioの2枚組。DVD-Audioがマルチ・チャンネルかどうかは良く分からない。私が買ったのは普通のCDです。ちなみに日本盤も出て来るようです。それとLPも出るらしい。
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by invox | 2011-06-09 18:57 | ■Music