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Out of My Book

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Official inVox Blog; Watched, Read and Listened in my real life.

Thierry Lang, Heiri Kanzig, Andi Pupato Trio 日本公演初日
(横浜エアジン、2014年2月5日)

素晴らしい公演だった。前半、後半に分かれた構成で、極めて美しくも、その芯においてとても力強い音楽を堪能させてもらった。
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もともと、パーカッションのAndy Pupato目当てだったのだが、ピアノのThierry LangもベースのHeiri kazigも、想像をはるかに超えて素晴らしかった。始まる前のステージを見ると、パーカッションは、いわゆる普通の太鼓類は用いず、カホンと金物類を中心に構成されていて、音的には随分と軽いものが多いなぁという印象だったのだが、演奏が始まってみると、軽快な響きながら、目の前に浮かぶのは、緑の大地であり、森であり、川であり、起伏にとんだ山々なのだ。それらが、まるで自分が鳥にでもなったかのように、滑らかに流れていく。時に岩があり、滝があり、断崖や台地が現れる。地球そのものだ。
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その上で、ベースが鳴ると、それはまるで人々の動きのようだ。眼下に人々の生活が繰り広げられている。楽しげに、命に満ち溢れている。「人間」を強く感じさせる、存在感の強い人々だ。時に歌い、時に笑い、時に黙々と働いている。
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そして、ピアノ。見ているとそれはまるで、光のようであり、風のようであり、宙に舞う花弁のようでもある。時々鳥たちが現れる。カラフルだが、原色ではない美しい色たち。くるくると表情を変えながら、落ちることなく宙を舞い続けている花弁のようだ。
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ジャズのピアノトリオ、というものに対して持っていた私のイメージとは大きくかけ離れた音楽がそこにあった。

美しく、強い。

主催者のブログでもレポートされている。

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公演終了後に、アンディ・プパートと少し話をすることが出来た。彼が日本に来るのは7回目だそうだ。その内、3回はChico & the Gypsiesでの来日、2回はRoninとして、と言っていた。私は残念ながら、Roninでの1回しか見たことがないのだが、その1回があまりにも強烈に印象に残っているので、今回の公演も見に来たのだ。見て正解。これほど確信を持って言えるのは、彼らの音楽がとても素晴らしいものだったからだろう。出来ればもう一回見たいのだが…。
# by invox | 2014-02-06 17:04 | ■Music
「エンダーのゲーム」(2013 米)

「エンダーのゲーム」_e0006365_11262656.jpg監督ギャビン・フッド
製作ジジ・プリッツカー
  リンダ・マクドナフ
  アレックス・カーツマン
  ロベルト・オーチー
  ロバート・チャート
  フリン・ヘンディ
  オースン・スコット・カード
  エド・ウルブリッヒ
原作オースン・スコット・カード
脚本ギャビン・フッド
音楽スティーブ・ジャブロンスキー
キャスト
  エイサ・バターフィールド(エンダー・ウィッギン)
  ハリソン・フォード(ハイラム・グラッフ大佐)
  ベン・キングズレー(メイザー・ラッカム)
  ビオラ・デイビス(アンダースン少佐)
  ヘイリー・スタインフェルド(ペトラ・アーカニアン)
  アビゲイル・ブレスリン(ヴァレンタイン・ウィッギン)
  アラミス・ナイト(ビーン)
  スラージ・パーサ(アーライ)
  モイセス・アリアス(ボンソー)
  カイリン・ランボー(ディンク)

「エンダーのゲーム」_e0006365_11271057.jpg本を読んだのは一体何年前だろうか。シリーズの邦訳をすべて読んできたが、まさか、これほど時間がたってから映画化されるとは思ってもいなかった。映画化の話を知った時にはきっと企画倒れになるだろうと思っていたのだ。

カード自身がプロダクションに名前を連ねているせいか、(すでに遥か記憶の彼方になってはいるが)本で読んだ内容から極端にはイメージがずれていなかった。後でブックレットを読むと、ビーンのこともかなり意識的に強調されていたようだが、視点があくまでエンダーに合わせてあるので、ブレはなかった。一つだけ気になるとしたら、視点がエンダーそのものではないことによる周りの子供たちや大人たちの描かれ方かもしれない。実際の映像で見てしまう以上、仕方がないが、カメラの視線は、見る側にある「わたし」の視線であり、それは「わたし」の実年齢からくる性質から逃れることはできないので、必然的にエンダーの視点で描かれている本とは異なるものが見えてしまうのだ。ピーターやボンソーなど、実際のエンダーの視点であれば、きっと、もっと違って見えたのだろう。それは、両親やグラッフ大佐などについても同様だ。もはや自分がエンダーと視線を共有できるほど若くはなくなったのだということを実感してしまったことに軽くショックを覚えた。

しかし、そういったことを考慮しても、この映画は見るに値した。原作を先に読んで知っていてもなお、そう思える映画化作品には、これまでであったことがない。「映画を先に見てから本を読むべき」というのが、小説を原作として作られる映画を見る場合の一番良い出会い方だと、これまでの経験から思っている私がそう思ってしまったのは、原作者が強くかかわっているからなのかもしれない。

ちなみに、私が見たのは字幕版、IMAX 2Dだった。吹き替えは絶対に避けたかったのだ。
# by invox | 2014-02-04 11:25 | ■Cinema/Movie
Steinar Raknes Live at Yagi-ni Kiku?,
Daikanyama, Tokyo 2013 Aug. 21st
Steinar Raknes(スタイナー・ラクネス)Live at 山羊に、聞く?(代官山)_e0006365_14104771.jpg
1. Killing the Blues *
2. Corrina *
3. Lonely
4. Deeper Well
5. Sweet Child
6. Stillhouse *
Woodstock (skipped)
7. Keep Holding On
8. Morning Song **
9. Mellizos ** / Twilight *

- intermission -

10. All My Tears
11. Woodstock *
12. Drench My Soul
13. Heart Of Saturday
14. All I Really
15. Speed of the Sound *
16. Wishing Well
17. I'm on Fire *
18. Never Let You Go
19. Walkin *
20. Angel

- encore -

21. Kiss *     
* 「Still House」収録
** 「Tangos, Ballads & More」収録


このセットリストは本人の自筆であるが、テーブルが濡れていたりで汚れてしまっている。開場した時点で、まだ前半のセットが完成していなかったので、大丈夫だろうかと心配していたら、前半終了後に後半のセットを検討し始めたのには驚いた。
Steinar Raknes(スタイナー・ラクネス)Live at 山羊に、聞く?(代官山)_e0006365_1462644.jpg

Steinar Raknes(スタイナー・ラクネス)Live at 山羊に、聞く?(代官山)_e0006365_1465032.jpg

彼の歌のストックは、50曲程度あるそうだ。それを常時持ち歩いているらしいiPadに曲のタイトルが入れてあって、それらが簡単に並べ替えることが出来るようなソフトを使っていた。それをあーでもない、こうでもないと弄りながら、紙に書き取っていくのだが、書き終わった後に消したり、入れ替えたりもしていた。極めつけは前半でスキップした「ウッドストック」を後半のセットリストを決めた後に会場のファンからのリクエストで再度組み込んだことであろうか。なんとも臨機応変。素晴らしい。

ウッドベースを掻き鳴らしながら歌うのだが、話し声からは想像できなかった渋いう歌声だ。アレンジもベース一本とは思えないほど表情豊かなもので、カバー曲が目白押しなのに、まったく彼のオリジナル曲を聴いているかのような錯覚に襲われた。ピーター・バラカン氏が「はまった」のも頷ける。こりゃ、はまるわ。

前半でのお客の反応が良かったせいか、後半は見た目にもリラックスしているのがよく分かるほど遊びの幅が広がった。リクエストした女性に笑いかけたり、客に歌わせようとしたりと、とてもインタラクティヴでホンワカしたライブ空間が出来上がった。それでもベースを弾き倒す場面も十分にあり、楽器奏者としての彼を期待してきた向きにも十分アピールしていたのではないだろうか。とにかく上手い。派手なアクションはないものの、引き締まった体と端正な顔立ちは、客席に女性客もかなりいたことを納得させるもので、公演終了後に一緒に写真を撮ってもらっているファンもいた。前半と後半の間の休憩時間にもサインに気さくに応じていた。

これまでの公演を見逃してきたことが悔やまれる。

Steinar Raknes(スタイナー・ラクネス)Live at 山羊に、聞く?(代官山)_e0006365_146505.jpg

チャンスがある人には、今日、明日の上越市と斑尾でのコンサートをぜひ見てほしい。また、スタイナーがメンバーになっているアーバン・コネクション(Urban Connection)のライブ(今週末の8/24(土)、8/25(日)、ともに新宿ピット・イン)も見に行きたいが、都合つかず。残念。こちらは、「ハイ・ヴォルテージ」。ベース奏者としてのスタイナーを堪能できるのになぁ。
# by invox | 2013-08-22 14:11 | ■Music
「オズ はじまりの戦い」(2013年 アメリカ)

監督 サム・ライミ
脚本 ミッチェル・カプナー、デヴィッド・リンゼイ=アベアー
原作 ライマン・フランク・ボーム『オズの魔法使い』
製作 ジョー・ロス
音楽 ダニー・エルフマン
撮影 ピーター・デミング
編集 ボブ・ムラウスキー
製作会社 ロス・フィルムズ
配給 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ
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出演:
 オズ(オスカー・ディグス) ジェームズ・フランコ
 西の魔女セオドラ ミラ・キュニス
 東の魔女エヴァノラ レイチェル・ワイズ
 南の魔女グリンダ ミシェル・ウィリアムズ
 フィンリー(声)/フランク ザック・ブラフ
 陶器の少女(声)/車いすの少女 ジョーイ・キング

オズの魔法使いは、ハヤカワから出ている邦訳は全て読んだ。もちろんボウムの手になるものだけだ。古い映画も見た。日本で制作されたアニメーションも見た。このアニメーションは、シリーズのかなりの所まで制作され、できばえも秀逸だった。だから、この作品も見ないで済ますことが出来なかった。

原作としてボウムの名前が挙げられてはいるものの、実際には本として書かれたものがある訳ではなく、原作シリーズの中で、いろんな場面で語られる断片から新たに脚本として起こされた「前日譚」の映画化である。なので、見前は不安があった。しかし、そこはディズニー。きっちりと仕上げてある。いや、面白かった。前半、モノクロでのカンザスのシーンは古い映画版「オズの魔法使い」を思い起こさせる。そして、オズの偉大なる魔法使いの誕生の秘密が物語られていくのには引き込まれた。まるでボウムの原作があるかのようだった。ドロシーが来る前の大人の視線でのオズの物語、とでも言えばいいだろうか。個人的には、陶器の少女が大変気に入った。特に声が。

「オズ はじまりの戦い」(2013年)_e0006365_1443830.jpg

# by invox | 2013-04-17 14:42 | ■Cinema/Movie
「Buena Vista Social Club」(1999、独、米、仏、キューバ)

監督・プロデュース:ヴィム・ヴェンダース
出演・音楽・プロデュース:ライ・クーダー
音楽:ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブ

ヴィム・ヴェンダースの映画は見ているようでそれほど多くないことンふと気が付いた。初めて見たのは「パリ、テキサス」の公開時。それに前後してドイツの監督特集で「ことの次第」「都会のアリス」。後に「ミリオン・ダラー・ホテル』と「ランド・オヴ・プレンティ」。見そびれてしまったのが「ベルリン天使の詩」(これは後からテレビで見た)。さきにハリウッドのリメイク版をそうとは知らずに見てしまったのだった。

完全にドキュメンタリー映画。なので、音楽に興味がないとつらいのではないかと思ったが、個々のメンバーの持つ個性や歴史が面白く、キューバ音楽に馴染みがなくも楽しめた。いや、ほんとに。

ライ・クーダーは息子と共に演奏しているが、息子もいろいろとキューバの老人たちから学ぶものが多かったようだ。ライがキャプテン・ビーフハートのバンドにいたことがあったというのも初めて知った。ま、それに限らず、様々なアーティストとのセッションをこなしているし、参加作品も多いので、特段取り立てて騒ぐことではないのかもしれあい。

初めてライ・クーダーの音楽を聴いたのは前述の「パリ、テキサス」だったと思う。強烈に印象に残っているスライド・ギターの音色。このブエナ・ビスタでは、ほとんどの場面でバックに回っているが、彼に対するメンバーの敬意や感謝が感じられる。

やはり、音楽映画は面白い。
# by invox | 2013-03-14 15:43 | ■Cinema/Movie

by inVox