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「ヒュペルボレオス極北神怪譚」 C.A.スミス

「ヒュペルボレオス極北神怪譚」
クラーク・アシュトン・スミス(著)、大瀧啓裕(訳)


PHの日本公演で中断したこともあって、ずいぶんと長い時間がかかってしまった。スミスの短編集だが、テーマが共通している作品はまるで歴史の一部を見ているかのようなリアリティで異様な世界が淡々と展開している。誇張なし、スリルなし、アクションなしなのだが、現実的、あまりにも現実的なのだ。もちろん、設定や話自体は荒唐無稽極まりないのだが、語り口ゆえに、それがまったくの事実であるかのように思える。文字として書かれている部分だけを創作したのではなく、その物語の世界とそれを取り巻くより大きな時空がそこにあって、そこから一つのお話を抜き出してきた、そういう印象だ。好きだなぁ。

ヒュペルボレオス
 「ヒュペルボレオスのムーサ」
 「七つの呪い」
 「アウースル・ウトックアンの不運」
 「アタムマウスの遺書」
「ヒュペルボレオス極北神怪譚」 C.A.スミス_e0006365_17493030.jpg 「白蛆の襲来」
 「土星への扉」
 「皓白の巫女」
 「氷の魔物」
 「サタムプラ・ゼイロスの話」
 「三十九の飾帯盗み」
 「ウッボ=サトゥラ」

アトランティス
 「最後の呪文」
 「マリュグリスの死」
 「二重の影」
 「スファノモエーへの旅」
 「アトランティスの美酒」
 
幻夢郷綺譚
 「始原の都市」
 「月への供物」
 「地図にない島」
 「歌う炎の都市」
 「マルネアンでの一夜」
 「サダストル」
 「柳のある山水画」

やはり、一番強い印象を与えてくれたのは「ヒュペルポレオス」の連作か。作品数が多いというのもあるのだろうが、世界の広がりが感じられる。「アトランティス」も悪くはないのだが、作品数が少ないので、アトランティス世界がいったいどういう世界なのか、結局分からずじまいなのだ。ちょっともったいない気がする。最後の「幻想郷奇譚」は、まとまりはないが、それぞれが秀逸な短編なので、それなりに印象に残っている。短いTV番組にしてもよさそうなものばかりだ。
by invox | 2011-10-19 17:49 | ■Books

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