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川崎音楽愛好会 第100回例会の記念コンサート

川崎音楽愛好会 第100回例会の記念コンサート

日時:2008年1月20日(日)午後2時~4時半頃
会場:川崎市高津市民館 11階 第一音楽室

曲目
 1. グリンカ:悲愴三重奏曲
 2. グリンカ:ファゴット・ソナタ(ヴィオラ・ソナタ(未完)の編曲版
 3. ドビュッシー:クラリネットとピアノのための第一狂詩曲
 4. ミルデ:ファゴットのためのコンチェルティーノ イ短調
 5. ラフマニノフ:六つの歌より第3曲「ひなぎく」(ピアノ独奏版) 
 6. リスト:超絶技巧練習曲より「鬼火」変ロ長調
 7. ベートーヴェン:三重奏曲(7重奏曲op.20の編曲版)から第1,2,3,6楽章

出演
- 山上貴司(ファゴット)
- 浦壁信二(ピアノ)
- 鈴木生子(クラリネット)

川崎市高津区で活動している川崎音楽愛好会の定例ミーティングの企画した100回記念コンサート。コンサートといってもステージがあるわけではない市民活動へ開放された「音楽室」での開催。会の長老からの挨拶で始まり、和気藹々とした曲の説明や出演者のエピソード紹介などをはさみながら、前半、後半に分かれて約2時間半の会であった。長老が定年後に始めた会のようで、押しなべてご高齢の方が多かった。それ以外は出演者のつながりか。

基本的にはファゴットの山上氏の主導であり、彼の教え子の中でも飛び抜けて優秀な二人がサポートをしている、というコンサートだった。このメンバーでのトリオ、ファゴット+ピアノ、クラリネット+ピアノ、ピアノ・ソロという4種類の演奏が楽しめた。

会の主旨を反映して、とてもリラックスした中にも音楽に対する愛情と経緯とが感じられるとても良い雰囲気のコンサートだった。いや、コンサートというよりも、音楽好きの集まりでの演奏会といった方がぴったり来るだろう。会場が「音楽室」というとても「デッド」な音響特性の部屋だったのだが、不思議と後方席で聞いていた私には、残響はないものの楽器がとても「オン」な音で聞えてきたので不満はなかった。ライブ直人とでも言うべきか、とにかく音が太い。天井が低く、四方の壁には吸音材が裏打ちされているであろうパンチボードが張ってあるのだが、余分な反射がない分、天井に反射した音が短い距離もあって、位相ズレもほとんど感じられないくらいに重なり合って音の厚みを増す方向に作用したのではないだろうか。

浦壁氏のピアノは改めて「上手いなぁ」と実感したリストの「超絶技巧」。「夢見るように」演奏するにはどれだけの力量がいるのだろうか、と「試験のための曲」を聴きながら、「試験の先」の夢なのかなぁなどとふと思いつつ。3人による七重奏(セプテット)の描く欧州社交場の景色をぼんやりと見ながら目くるめく音のやり取りと重なりをたっぷりと堪能したベートーヴェン。

いや、なんかよかったなぁ。こういう「指揮者のいない」トリオやカルテットくらいが一番好きかも。音楽を造るのは、最後は演奏者と聴き手なのだと改めて思ったコンサートだった。
by inVox | 2008-01-25 23:19 | ■Music

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