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Out of My Book

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「獣の奏者 闘蛇編/王獣編」 上橋菜穂子

「獣の奏者(1)闘蛇編(2)王獣編」 上橋菜穂子(講談社文庫)


e0006365_1716552.gife0006365_1717976.gif「守人シリーズ」を文庫で読もうと決めて、単行本等に一切手を出さずにいたのだが、シリーズ自体はとっくに完了していることを考えれば、新作が出てきても不思議ではない。しかし、そのことにまったく思い至っていなかった。不覚だ。

というわけで、本屋さんでこの文庫2冊を見つけて即購入した。しかし、一抹の不安があった。それは新聞のテレビ欄で見かけたことのあるタイトル「獣の奏者エリン」の語感だけが頭にあったからだ。アニメは見たことがなかったが、どうせ機械獣のような設定のロボットを楽器を模したコントローラで操縦するような設定のロボットアニメだろうと思い込んでいたからだ。それは思いっきり外れていたわけだ。

さて、この2冊。実際には上下刊だと思っていい。一つの物語があるところで区切りが付くので分けられているが、大きな流れそのものはひとつだと言えるだろう。そして、その流れのなんと奥深いことか。それはまるで長い川を見ているかのような気分だ。小さな水溜りのようなものから激流や小川があり、池や湖がある。大河となり、支流や合流がある。だが、最後は...、まだ、海にまでたどり着いているわけではない。

異なるものたちが如何にその異なりを乗り越えようとするのか、しないのか。それは答えのない問いかもしれないが、いつか、ずっと「Stranger Still」と言い続けるのではなく、自らもまた大きなつながりの中の一つの連環をなすものであることを自覚して、「This Book」を誰かに渡していけるのかもしれない。そんな希望を与えてくれる本だ。

怖いのは、真摯でまっすぐな思いが、必ずしも「よい」ことや平和につながらないことだ。それが違う立場の人間から見たら「狂信者」と映ることもある。

この8月に、続編として(3)探求編、(4)完結編が刊行された。(1)(2)の文庫化とほぼ時を同じにしたのは、NHKによるアニメ化のおかげか? 講談社には特設ページも設けられている
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by invox | 2009-08-29 17:20 | ■Books