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「時の娘 ロマンティック時間SF傑作選」

「時の娘 ロマンティック時間SF傑作選」 (創元SF文庫)
 R・F・ヤング他 (著), ジャック・フィニイ (著), ほか。中村 融 (編)

e0006365_23541740.jpg収録作品(収録順)
・「チャリティのことづて」 ウィリアム・M・リー
・「むかしをいまに」 デーモン・ナイト
・「台詞指導」 ジャック・フィニイ
・「かえりみれば」 ウィルマー・H・シラス
・「時のいたみ」 バート・K・ファイラー
・「時が新しかったころ」 ロバート・F・ヤング
・「時の娘」 チャールズ・L・ハーネス
・「出会いのとき巡りきて」 C・L・ムーア
・「インキーに詫びる」 ロバート・M・グリーン・ジュニア

以前、ジョセフィン・テイの「時の娘」というミステリを読んだことを紹介したが、こちらは、それとは全く関係がない、SF短編のアンソロジーだ。前者が「真実は時の娘」(英語:Truth is the daughter of time.あるいはTruth, the daughter of Time. ラテン語:VERITAS TEMPORIS FILIAあるいは、VERITAS FILIA TEMPORIS)という言葉からタイトルを拝借し、「真実」と「歴史による変容」を扱った作品であったのに対し、こちらのアンソロジーは、SFらしく、「時間」そのものをテーマとしたタイム・トラベルものばかりを集め、その中の一篇のタイトルをそのままアンソロジーのタイトルにも持ってきたものだ。

この中に、ジャック・フィニィの未読作品が含まれていたので購入したのだが、いやいや、他の作品もなんとも良いではないか。各作品の扉にある作者紹介が少々余分だが(作品の内容そのものの解説は興ざめになるので止めて欲しい)、それぞれに趣が異なっていても、翻訳者が違っていても、十二分に楽しめた。時間を好んで取り扱ったフィニィの作品「台詞指導」など、映像にしても面白いだろう。いかにもSF的な、タイムマシンや火星人が登場するものから、コラージュのように時が入り乱れるもの、どちらかと言えば古風な趣のあるものまで、たいへんバラエティに富んでいる。「時が新しかったころ」という作品は、比較的新し目の作品だろうか、この感じは大好きだ。

解説によれば、海外では、この手の小説は、SFファンにはあまり受けないようだが、一般読者には大変受けがいいようだ。タイムトラベル・ラブストーリーは映画化され、好評を博すものもあるようだ。「きみがぼくを見つけた日」が最近の代表例だろう。もっとも、恋愛物語の側面が極端にクローズアップされるのは仕方がない。そういう面でも、小説の方が私には好ましい。
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by invox | 2009-11-16 23:54 | ■Books