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Finland World Music Showcase; FRIGG in-store live

フィンランド・フェスティヴァルの一環として、「ワールド・ミュージック・ショーケース」と題されたコンサートが行われた。

World Music Showcase - Finland Festival 2010
5月28日(金)、渋谷 JZ Brat

出演したのは、3組。出演順に書くと

・フリッグ     
・レピスト&レティ
・スヴェング


ということになる。各バンド、およそ40分程度の持ち時間をフルに使っての演奏を楽しませてくれた。事前に音を聴いたことがあったのはFRIGGだけだったので、他の2組については多少不安もあったが、いずれも実力者、大御所、という扱いなので、まぁ利いて悪いことはないだろうと気楽に構えていた。

今回の来日公演のフリッグは、6人編成。いつもはもっと多いそうだ。告知でも、通常はフィドルが4人のところ3人となる旨のお知らせは出ていたが、実際には11名がメンバーに名を連ねていて、その時々の都合で集まれる人間が集まってライブを行っているとのことだ。ただし、コアとなるメンバーはどうやら今回の来日メンバー+もう一人か二人のようだ。リーダー格と思しきベースのアンティ・ヤルヴェラとマンドリンやバラライカもどきのような楽器を演奏しているペットリ・プラウダの二人のようだ。この二人が作曲とアレンジのほとんどを担当しているらしい。

FRIGG;コアメンバー
 Antti Jarvela - double bass
 Einar Olav Larsen - fiddle (今回は来日していない)
 Esko Jarvela - viola, fiddle
 Petri Prauda - cittern, mandolin, bagpipes, jew..s harp
 Gjermund Larsen - fiddle
 Alina Jarvela - fiddle
 Tuomas Logren - guitar, dobro

ギターのトゥオマス・ログレンは、パウリーナ・レルヒェの2007年の来日公演(春と秋の2回)の際にもやってきており、私はその時に知り合いになった。彼の硬質で切れの良いアコースティック・ギターはフリッグでも存分に発揮されていて、YouTubeなどで見ていたよりも、音量的にも重要なパートを占めていると感じられた。また、スタジオ録音よりも実際のライブの方が、フィドルの掛け合いや、息の合ったやり取りが見られる分、格段に素晴らしかった。これはぜひ単独でも来日公演をやってほしいバンドだ。

2番目のレピスト&レティは、元ヴァルティナのメンバーだということで、アコーディオンとダブル・ベースのデュオがどんな音楽を聴かせてくれるのか、期待半分、不安半分で聴いたのだが、静かな中にもダイナミクスが感じられ、予想よりもかなり良かった。曲によっては、ここでドラムスが入ったらもう少し自分の好みになるんだがなぁ、と思うものもあったが、ヴァルティナ的なワクワク感もあり、ジャズ的な静謐さもあり、あるいはクラシックのような端整さもありと、奥の深い二人の音楽であった。

最後を飾るのは、ハーモニカ4人組のスヴェング。一体どんな音楽になるのか、正直不安の方が大きかったのだが、なんとなんと。大変面白い音楽だ。特に印象的だったのがバス・ハーモニカとでもいうのだろうか、ベース・ラインを演奏する人の音が、まるでダブル・ベースのように力強く、かつ、パーカッシブだったことだ。二人のリード奏者にハーモニー担当とベース担当という役割分担がとても上手く噛合っていて、ハーモニカだけとは思えない奥深く、広い世界を提示してくれた。曲もまた素晴らしく、飽きさせることがない。たいしたものだ。

このライブの翌日、渋谷のタワー・レコードではフリッグのインストア・ライブが行われた。もう一度彼らの演奏を聴きたかったのと、トゥオマスと話をしたかったので、行ってきたのだが、PAを用いずに生音だけの演奏で、期待以上だった。演奏したのは前日のライブと同じ曲ばかりだったが、さすがライブ。様々に異なる演奏を聞かせてくれた。前日はちょっと離れた席だったのでよく見えなかった彼らの手元や表情も3,4mという至近距離からじっくりと見ることが出来た。すばらしい。

このインストア・ライブにも、前日も来ていたHoedownの社長フィリップさんが来ていて、じっくりと聴きこんでいた。フリッグは、Hoedownのアーティストではないのだが、とても気に入っているとのこと。特に最近作である「エコノミー・クラス」に収録されているボーカル曲(たぶん「Viinalaulu」だと思う)が、ものすごく好きなのだそうだ。

もう一人、このインストア・ライブには有名人が来ていた。ピーター・バラカン氏である。フィリップさんと長いこと話をしていたようだが、内容は分からない。バラカン氏の番組や記事でフリッグをプッシュしてくれるといいなと思いつつ、二人の様子を遠くから見ていた。

トゥオマスにパウリーナの新作レコーディングの様子を聞いたところ、後半年くらいで仕上がるのではないかとのこと。ほとんど楽器の録音は終わっていて、今はボーカルの録音をしているらしい。新作が出来たら、ぜひパウリーナのバンドでの来日を期待したい。とりあえずトゥオマスは帰国したら特に急ぎの仕事はないと言っていたが、すぐに6月。フェスティヴァルの季節なのできっと色々とあるだろう。

インストア・ライブ後にバンドのメンバーからCDにサインを頂いた。1stと2ndには、2007年の時点でトゥオマスのサインはもらっていたので、トゥオマスには「エコノミー・クラス」にだけサインをしてもらった。また是非日本に来て欲しいと伝えてバンドのメンバーにお別れした。
by invox | 2010-05-30 00:28 | ■Music

by inVox