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諸星大二郎

e0006365_234612.jpg諸星大二郎の作品を立て続けに読んでみている。妖怪ハンター稗田礼二郎のシリーズは題材が古事記、日本書紀から聖書、童謡などいわゆる古典的な神話や伝説から展開されているものが多くとても刺激的だ。e0006365_2341761.jpgもちろん、全てが日本に密接に関係しているものばかりである題材であるがゆえに、ギリシア神話やキリスト教の本流や北欧神話、ケルト神話、ローマ伝説などの西洋世界のみが舞台のものとは異なり、同じようなテーマでありながらもリアリティがある。決して私にとっても古事記や日本書紀が身近だというわけではないが、学校の授業やドラマや小説でそれなりに何度も触れることがあった「いつかどこかで聞いたことがある」ストーリや登場人物、舞台設定がそういったリアリティに結びついているのだろう。e0006365_2344021.jpgもちろん、%本とは直接には関係のない中国の話をテーマにしたものも多く、昔夢中になった西遊記に題を取った西遊妖猿伝や儒教の祖とされる孔子についての孔子暗黒伝などもまたある意味では、日本でもとても認知度の高いテーマだといえる。

e0006365_2345811.jpg稗田礼二郎は考古学者という設定だ。作品を読む限りなぜ民俗学者としなかったのか、柳田邦男的な世界を表現する上でよりイマジナブルに、よりリアルにするためにあえて考古学という実証的な学問を選択したのではないだろうか。e0006365_235166.jpgハードSFが科学をベースに奇想天外な設定を紡ぎ出すように、諸星大二郎の作品もハードでヘヴィに現実を異界に変容させていく。その変容の過程の描き方が旨いために読み手である私はいとも簡単に異界の扉を潜り抜けてしまえるのだろう。それは子供の頃に抱いていた実感に通じるものだ。自分はこの世界に首から上を出しているに過ぎず、何かの拍子に簡単に別の世界(向こう側)へと行ってしまうのだろう、という感覚だ。かろうじてこの世にとどまっていることが出来るのは、この世に出ているのが頭だったからだ。
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by inVox | 2005-12-04 23:05 | ■Books