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「歓びを歌にのせて」

「歓びを歌にのせて」(2004 スウェーデン)

「歓びを歌にのせて」_e0006365_22383027.jpgスウェーデンのケイ・ポラック監督の18年ぶりの作品、と言われてもこの監督のことはまったく知らなかったのでピンと来なかった。前作のタイトル「Love Me!」を聞いても分からない。ただひたすらに「音楽もの」であることを頼りに見てみようと思ったのだ。見た後でオフィシャル・ホームページでこの作品が2005年アカデミー外国語映画賞ノミネートされていたと知った。

主人公は「人の心を開く音楽」を作りたいと思う天才的な音楽家だが、公演中に心臓発作で倒れて引退状態にある中年男性。映画は7歳の頃からをダイジェスト的に最初に描くことで彼のキャラクターを上手く浮かび上がらせている。そして本編となる帰郷。7歳のときにそこを離れたため誰も彼が誰だか分からないと言う設定。あぁ、音楽で注目を浴びたときに名前を変えた、というのもきちんと説明してある。そういった土地で教会の聖歌隊の面倒を見ること押し付けられて…。後は実際に見て欲しい。

「人の心を開かせる音楽」という志を持ちながらも実際の生活では様々なトラブルも多く人付き合いだけだってなかなか上手くいかない。そういったリアルな描写とどこか浮いてしまっている主人公の対峙する一つ一つの瞬間が美しい。素人が徐々に上手くなっていく聖歌隊も見事だ。主人公の周りで起こる建前の崩壊による軋轢もまた考えさせられるものが多い。

「歓びを歌にのせて」_e0006365_22385344.jpg主人公を演じるミカエル・ニュクピストはスウェーデンでは有名な俳優のようだが日本では始めて紹介されるようだ。彼が素晴らしい。しかし、それ以上にその他の登場人物が素晴らしいのだ。誰一人として知っている役者ではないことがますますその素晴らしさを感じやすくしているのかもしれない。音楽はクラシックや教会の聖歌隊が歌うごくポピュラーなものだがこれもまた素晴らしいのだ。オリジナルも登場するし感動的だが、個人的にはその他の一般楽曲での聖歌隊の歌声により多くの感動を覚えた。
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by inVox | 2006-01-19 22:39 | ■Cinema/Movie

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