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「サンシャイン&ヴァンパイア」

「サンシャイン&ヴァンパイア」 (
ロビン・マッキンリイ著、藤井喜美枝訳、扶桑社ミステリー

e0006365_11214574.jpgロビン・マッキンリイという女性作家は、オハイオ生まれで父親が軍人だったことで世界を転々としたとのこと。日本にもいたことがあるという。作家デビューは1978年。編集者や教師をやりながらファンタジー小説を発表。『英雄と王冠』(早川書房)でニューベリー賞受賞。この「サンシャイン」でミソピーイク賞を受賞。現在、夫ピーター・ディキンスンと英国に住んでいる。ディキンスンとの共著もある。

私がこの人の作品を読んだのは、大学生のときだ。もちろん当時新刊で出たばかりだった「青い剣」を店頭で発見。なんのことはない、表紙のイラストを当時好きだっためるへんめーかーが描いていたのが目に留まったのだ。しかし裏表紙の解説で即購入。いっぺんに好きになった。「英雄と王冠」も出るとすぐに購入した。このシリーズの続きが出ることをそれ以来待ち続けたのだが、このシリーズはおろかほかの作品のことも、作家自身のことも、一度も耳にすることがなかった。それが、今回突然の訳出。店頭で見つけたときは我が目を疑った。

e0006365_11215794.jpgそれにしても面白い。いつものペースよりもずいぶんと早く読んでしまった。主人公の女性のキャラクター設定も秀逸だが、一人称で語られる、彼女を取り巻く人々の描き方も、自然で、語り口は親しみやすい感触を持っている。これは、邦訳のせいもあるのかもしれないが、先に現代口語的な訳文をけなしたばかりなのに、今度はまさにその理由で褒めるのだから難しいものだ。もちろん、「現代口語的」といってもピンからキリまであるわけで、私が嫌いなのはボキャブラリが極端に限定された、擬音語擬態語や流行言葉に頼りきった平板な口調だ。「ダマール王国物語」での訳文と比較するとそれでもかなり砕けているが、それでもなお崩れていない丁寧さというか礼節・マナーをわきまえたというか、下卑たところのなさというか、「馬鹿でなし」とマイクなら言うだろう感触があるのが嬉しい。残念ながら「ダマール王国物語」は現在では新品の入手が難しいようだが、女性的な軽ろやかさが嫌いでなければ、読んでみてほしい本だ。


・「青い剣 ~ダマール王国物語1」 渡辺 南都子 訳 (ハヤカワ文庫 FT080 1985年)
・「英雄と王冠 ~ダマール王国物語2」渡辺 南都子 訳 (ハヤカワ文庫 FT100 1987年)
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by inVox | 2008-01-20 11:22 | ■Books