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2006年 03月 13日 ( 1 )

「きみの血を」 シオドア・スタージョン (訳)山本光伸

e0006365_23174775.jpg宣伝文句に釣られてはいけない。「エロティシズムに彩られた変種のヴァンパイア小説」という帯の言葉、さらには菊地秀行の言葉として「異形の吸血鬼小説だ」とある。本屋でそんな言葉を見たら買わずにはいられない。だが、今回はスタージョンの小説でネットで入手可能な本、という基準で選ばれたのがこの本だったのだ。宣伝文句は本が手元に届いたときに初めてそんな言葉が踊っていることを知った。

前書きとも、導入部とも付かない変な文章がこの小説を「作り話」だと強調して本編へとつながっていく。そして友人であり軍の上司部下である二人の男たちの往復書簡が始まる。そこに挿入される添付書類という名のもうひとつの自伝的小説。錯綜する一人称の文章は読み手の意識をそれぞれの登場人物の中に誘い込むための誘導装置か催眠薬か。個人の価値観や道徳観の入り組んだ重層的な建造物を設計図を見ながら想像してみるに等しい無謀な感情移入。ジョージ・スミス。ジャッジ・スミスではない…。
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by inVox | 2006-03-13 23:17 | ■Books